金属行人(9月26日付)

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 ニッケル系ステンレス冷延薄板流通のマージン改善が正念場を迎えている。国内メーカーの値上げに伴う高値玉の入荷が進んでマージンが悪化する一方、ニッケル原料価格が軟化して、値上げに対する顧客の抵抗感が強まる状況にある▼店売り契約価格を毎月公表する新日鉄住金ステンレスの場合、8、9月とニッケル系冷薄販価を引き下げた。ただ昨年10月以降は断続的に値上げを続け、7月までの値上げ幅は7万円に及んでいた。市中に入っているのはこの高値玉であり、思うように再販価格が上がらない中で流通のマージンは悪化している▼一方でLMEニッケル価格が7月から軟化し、9月はポンド当たり6ドルを割っている。ニッケル系ステンレススクラップ市況も段階的に値下がりし、足元でようやく底値観が聞かれる状況となっている▼製品の値上げに取り組む最中に原料の値下がりに直面し、値上げ浸透に苦慮するのはステンレス産業の宿命だが、かつてのように市況が崩れる業界ではなくなっている。国内一般市場では原料価格と製品販売価格が連動するアロイ・サーチャージ方式は浸透し切っておらず、原料と製品の変動時期のずれを含めて、粘り強く顧客の理解を得る局面が続いている。