アルゼンチン、チェコ、リトアニア、タイ、 異国の地で闘うサムライ三谷翼を知ってるか?

アルゼンチン、チェコ、リトアニア、タイと異国の地で活躍する三谷翼(みたにつばさ)選手に、それぞれの国の待遇や驚きのエピソードなどを踏まえてインタビューに応じて頂きました。

◆サッカー経歴

・京都長岡京SS

・京都FC長岡京

・興國高校

・京産大サッカー部(2年次退部)

・三菱自工京都サッカー部

・Racing de Córdoba (アルゼンチン)

・京都紫光SC

・SFC stara rise (チェコ)

・FK panevezys(リトアニア)

・Saimit Kabin United(タイ)

◆アルゼンチンへ武者修行!!

 アルゼンチンでプレーしていた時のエピソードから伺った。

 「トップチームの選手たちが給料の遅延か未払いのボイコットで、カップ戦をサテライトである2.3軍とユースの選手で戦ったことです。前日には一緒に練習していた選手たちが、トップのボイコットにより当日借り出され自分が見てる目の前でプロ相手に戦っている姿を見て、強い気持ちだけでここまで出来るのか、と実感させられました。アカデミー在籍が長い選手が出てたみたいで、自分より下のカテゴリー(4軍U-18、5軍)の選手が出ていましたが、その選手が相手にビビることなくむしろ絶好のチャンスと捉えてプレーしているように見え、言葉では説明しにくいですが、もし日本人ならもっと無難にとか、彼らみたいにプレー出来ないんだろうなと思いました。当たり前のことですが強い気持ちというのがサッカーにとって本当に必要なんだと実感させられました」

◆CLを目指し欧州に!リトアニアリーグのレベルや待遇は?

 リトアニア2部のチームへ移籍した三谷は、あと2勝すればEL予選出場という所までトーナメントを勝ち上がったが、惜しくもCL出場の夢は果たすことが出来なかったという。

「まず待遇ですが、外国人枠でプレーしている選手は、月に100〜400ユーロの固定給、勝利給が50〜150ユーロ、引き分けの場合は20ユーロ、アウェーの場合のゲームは10ユーロが支給されていました。その他に、アパートと交通費、食事がチームから支給されるという内容でした。」

 リトアニアの平均月収が日本円で、6~7万円程であることを踏まえると、サッカーだけで生活をすることが可能な待遇だ。

 「次にリーグのレベルですがリトアニア2部は、チームによって差があると感じました。僕が所属していたチームは過去にリトアニア1部リーグを5連覇した、エクラナスの施設を引き継いで使っていたので環境はとてもよかったです。

 施設も、フットサルコートが併設されている人工芝サッカー場が1つ、スタジアム、室内練習場やジム付きクラブハウスのある天然芝練習場、その他にも天然芝練習場一面という感じで、今年さらに新しくクラブハウス付きの人工芝グラウンドを作られておりサッカーの環境面では充実していました。

 年齢層はエクラナス時代に活躍した選手27〜35歳、外国人枠20〜28歳、U19との二種登録選手といった感じで、外国人枠は年代別ウクライナ代表、スペイン2部アルコルコンにも在籍した元ガーナ代表選手や、アメリカ、ブラジル、カメルーンの選手がプレーしていました。しかし、活躍することが出来たのは、前期でスイス2部へ移籍したウクライナ人と後期から来たアメリカ人くらいで思っていたよりハードなリーグでしたがリーグ自体は経済的な差が顕著に表れるリーグだなと感じました。」

◆タイで過酷なキャンプ生活を乗り越えてチームを残留に導く活躍!

 三谷は活躍の場をアジアに移し、タイの4部リーグのSaimit Kabin United(サイミットガビンユナイテッド)へ移籍した。

「契約時に、アパートを用意すると言われたのですが、実際には7ヵ月待たされ残りの2ヵ月のみアパートで過ごす事が出来ました。キャンプの生活用水は、非常に汚くて傷口から感染したこともありましたし、食あたりで救急車で運ばれることもありました。食あたりをすれば、基本2日〜5日ほど寝込んでいたので、ひどい時は試合に出れることが出来ませんでした」三谷が語るようにガビンでのキャンプ生活は、想像を上回る。筆者もトライアル中にガビンでキャンプを経験したが、本当に酷くコンクリートでの雑魚寝、雨水でのシャワー、部屋にはサソリやゴキブリ....そういった劣悪な環境でピッチ外での戦いを強いられる。

 「次に環境面ですが、良くないです。T4だと日本の社会人リーグ(地域リーグ)のほうが環境は良いと思います。レベルについては、その国の特徴があるのでなんとも言えないですが自分が予想してたよりテクニカルでタフだなと思いましたが、球際へ激しくプレッシャーをかけると、すぐに笛がなるので球際はぬるいと感じました」

 待遇は、外国人選手は15000〜3000バーツ(日本円で約5万~10万円程)、基本的に勝利給などのボーナスは無し、昼と夜の食事、アパート(実際は、アパートが用意されるのに時間がかかり、7ヶ月はキャンプ生活)、ビザは各自で用意するという条件だったという。

 タフなタイリーグで、三谷は降格圏内だったチームをプレーオフ進出間近という所まで活躍を見せてシーズンを終えた。

◆感謝の気持ちを考えてプレーする!

 最後にプロサッカー選手としての心構えを伺った。

 「心構えですか?僕は自分がプレーする国のサッカーのレベルは、あまり考えないようにして、常に自分に目を向けるようにしています。「ローカル選手が下手すぎる、レベル低すぎる」と文句を言ってしまう気持ちも分かりますが、契約先のチームで、自分に何が出来るのかということを常に考えていますし、プレー以外のことでもチームにとってプラスになることがあるのかと考えるようにしています。そしていつも、感謝の気持ちを持ちながらプレーしています。」

 南米、ヨーロッパ、アジア、様々な大陸のサッカーを経験した三谷のサッカーストーリーに今後も期待だ。

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