「集団への攻撃も駄目」 ツイッター社の姿勢

2018年7月27日、米ニューヨーク証券取引所で、画面に表示されるツイッターの株価(ロイター=共同)

 ツイッター社は26日までに、個人だけでなく「特定の集団に対する人間性の否定」を禁じる新たなポリシーを定めると同社ブログで明らかにした。集団のメンバーへの暴言や脅迫、差別的言動に対しても認めないとする姿勢をはっきりと示し、利用者からも意見を聞くとしている。ヘイトスピーチのような憎悪をあおる投稿の中で、個人が所属する集団についてネガティブな言動がツィートされた場合にも、削除やアカウント凍結などの対応が想定されるとみられる。(共同通信=柴田友明)

 「人間以下という扱い」

 ツイッター社ブログの「ツイッターの人間性の否定に関するポリシー」「ポリシー作成における新たな変更」によると、人間性の否定について次のように定義している。

 「利用者の皆さんは特定の集団の特性に基づいて誰かの人間性の否定をすることはないと思います…他人を人間以下に扱う言葉。人間性の否定は、人が人間の本質を否定されたときに生じることがあります。例えば、集団を動物やウイルスに例えたりする場合です。特定の集団:人種、民族、国籍、性的指向、性別、信仰する宗教、年齢、身体障害、重病、職業、政治理念、地域、社会的慣習など…」(要旨)

 さらに同社のポリシーについて、以下のようなアンケートをネットで試みている。「人間性の否定に関するポリシーは、どうすれば改善できると思いますか?」「健全な会話でありながらこのポリシーに反するような会話の例はありますか?」「もしツイッター社があなたの返答に関してさらに質問がある場合は、メールでコンタクトしてもいいですか?」

 英語を直訳したような文章もあり、硬い表現もある。しかし、これはツイッター社がネット上の「ヘイト対策」を明確にしたことにほかならない。こういうかたちでの利用者向けのアンケートも初めてではないだろうか。

ツイッター社の「ポリシー作成における新たな変更」の文面、人間性の否定についての定義もされている。

 透明性を高める

 集団への攻撃はその位置づけがあいまいな面もあったが、ツイッター社は日本を含め各国で、利用者の意見をフィードバックして「健全性」「透明性」を高める狙いがあるようだ。

 これまでにツイッター社は、他人に対して自殺、自傷行為を助長するような投稿を非表示にしたり、悪質な場合は削除するなどの対応を決めている。ネットを悪用した神奈川県座間市の殺人事件など、自殺に関心がある人やさまざまな悩みを抱える人が事件に巻き込まれるケースが注目されてきた。事件後に、ネット上では「自殺願望をつぶやいたアカウントが利用停止になった」という書き込みも散見される。

 ネットを通じてつながること。だれでも情報を発信、受け取ることができる自由な言論空間を目指して、負の側面を抑えられれば問題はない。ただ、間違いなく試行錯誤は続くだろう。

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