移住という選択

 仕事がない。遊ぶ場所がない。だから若者が出て行き、人口が減るんだ-。ずっとそう言われがちだった過疎地。だが、そうでない見方もあることを、過疎地へ移住してきた人々は改めて教えてくれる▲本県の県北離島部へIターンした人々を紹介した先日の本紙連載「古里考 移住という選択」。人生を変える大きな決断をして新天地で生き生き働く姿から、前向きなエネルギーが感じられる▲仕事は自分で創り出すものだと言うかのように、起業した人がいる。地元の人や観光客の交流拠点として、ゲストハウスや体験観光施設やレストランなどを開業。ビジネスの可能性に目を付けたチャレンジだ▲地方には家族と日常生活を楽しむゆとりや子育てしやすい環境がある。遊ぶ場所としてにぎやかな娯楽施設はなくとも、身近な海や山が憩いの場となっているに違いない▲多くの移住者が、地元の人が気付きにくい地域の魅力や価値を発見し、行政の支援なしに移住を決めている。頼もしい行動力だ▲移住者はこれからもじわじわと増えていくのではないかという気がする。それが人口減少に歯止めをかけるほどの流れになるかどうかは分からない。ただ、地域に刺激と活力をもたらしてくれるのは確かだ。それを上手に生かせば、きっと明るい未来が開ける。(泉)

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