日本製鋼所、素形材・エネルギー事業を来秋めどに分社検討

 日本製鋼所(社長・宮内直孝氏)は26日、2019年10月予定で室蘭製作所(北海道室蘭市)を中心とする素形材・エネルギー事業に関して新会社を設立する検討を開始すると発表した。東日本大震災以降、原子力・火力発電などエネルギー関連の市場縮小とそれに伴う競争激化が進み、素形材・エネルギー事業の収益低下と改善が大きな課題になっている。18年度は同事業の黒字化を見込むが、安定黒字体制の確立にはさらに踏み込んだ施策が必要だと判断した。

 19年10月に同事業を分社し、完全子会社を設立する方向で検討を進める。室蘭製作所内にはクラッド鋼板・鋼管製造、検査全般、大型鋳鍛鋼品の機械加工、構内物流などの子会社群があり、これら現有子会社も統合して新会社を設立する構想がある。事業効率化を進めるのに最適な組織形態へ再構築することにより、市場環境の変化にスピーディーかつ柔軟に対応する体制を整え、高いコスト競争力を実現して、素形材・エネルギー事業の新生を目指す。労働条件の切り下げは行わない。

 素形材・エネルギー事業は17年度まで3期連続で総額546億円に及ぶ減損損失を計上。18年度は3期ぶりに黒字化する見通しだが、現状の事業構成と規模で安定黒字体制を確立するためには、さらなるコスト改善による競争力強化が必要となっている。

 産業機械事業の好調により17年度連結経常利益は221億円。

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