豪雨リスク伝達強化 神奈川県、土砂警戒メール配信へ

 西日本豪雨を受け、神奈川県は土砂災害や水害の危険性を住民に直接知らせる対策を強化する。大雨警報より危険な状況を意味する「土砂災害警戒情報」のメール配信を新たに行うほか、県管理の河川で簡易な水位計の新設や浸水想定図の表示を急ぐ。市町村の防災無線による緊急情報の提供やハザードマップ(災害予測地図)を通じた日頃の啓発に限界も指摘される中、豪雨の危険を伝える手段を増やし、住民の避難に生かす。

 崖崩れや土石流の可能性を降雨の状況や予測から見極め、横浜地方気象台と共同で発表する土砂災害警戒情報は、市町村が避難勧告を発令する目安となる。

 現在は市町村や報道機関などを通じて知らせているが、県は今後、システムを改修し、携帯電話各社の緊急速報メールでも提供する考えだ。配信対象の市町村との調整が必要なため、開始時期は未定だが、発表エリア内の携帯やスマートフォンに警戒情報が自動で通知されるようになる。県砂防海岸課は「住民が少しでも早く避難行動を起こせるようにしたい」と取り組みの狙いを説明する。

 河川の氾濫にも、これまで以上に目を配る。洪水時の観測に機能を特化させた簡易水位計を帷子川や小出川、金目川、山王川など24河川の26カ所に設置。当初の予定より前倒しで作業を進め、堤防の低い地点や高齢者施設が近い箇所など、避難対策上の重要度に応じて整備していく。

 簡易水位計の設置コストは、既存の水位計のおおむね10分の1以下。県河川課は「順次観測を開始し、専用のウェブサイトで水位を確認できるようにしたい」としており、2019年度も増設する考えだ。

 また、相模川と酒匂川の堤防上に、最大級の氾濫想定図の看板を設置。日頃から川を利用する際に、リスクに目を向けてもらえるようにする。

神奈川県庁

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