極彩色の風 和華蘭 長崎くんち・3 出島町・阿蘭陀船 「静」と「動」支える囃子方

 鎖国期に日本と西欧をつないだ唯一の窓口である出島を目指し、オランダ東インド会社の船がやってきた。その歴史にちなみ、出島町は約4トンの「阿蘭陀(おらんだ)船」を豪快に回し、大航海を表現。穏やかな海、荒れ狂う海をくぐり抜ける「静」と「動」の船回しには、囃子(はやし)方の奏でるリズムが欠かせない。
 小学生18人の囃子方は、異国情緒を漂わせるシンバルやベルリラなど西洋楽器を中心に7種類を使用。全員が2種類以上の楽器を演奏でき、交代で担当する。
 大嵐を表現するスピーディーな船回しは、バスドラムがリズムの要。担当の大浦小5年、大下(おおしも)朝陽君(10)は「たたきすぎて腕がまひ状態。でもにぎやかにやり切りたい」と意気込む。
 一方、波が収まり船がゆっくりと回転する「オルゴール回し」では、ベルリラが軽やかな音色を響かせる。担当の銭座小4年の大平愛莉さん(10)は「目立つので慎重に頑張りたい」。
 こども舞踊隊もオランダさんや町の娘などに扮(ふん)し、華麗な舞を披露する。長采(ながざい)の銭上義秀さん(60)は「町全体の心を一つにして成功させたい」と気合十分。「オーレ!」。威勢の良い掛け声と船回し、囃子方のリズムのハーモニーが、観客を異国情緒の世界へといざなう。

囃子方の奏でるリズムに合わせ、阿蘭陀船を操る根曳衆=長崎市、諏訪神社

© 株式会社長崎新聞社