東工大などが新手法、多元合金ナノ粒子の合成

 科学技術振興機構(JST)は、東京工業大学と理化学研究所の研究グループが、ナノ粒子中に多種の金属元素をさまざまな比率・組み合わせで配合できる手法を開発したと発表した。従来の手法では均一な合金化は最大でも3種類までしか達成されていなかったが、同技術を利用して5種類以上の金属を配合した多元合金ナノ粒子の合成に成功した。同技術で合成される物質は多様な金属元素種に加え、ナノ粒子のサイズと混合比率も考慮すれば非常に多くの組み合わせが考えられることから新しい物質群の発見や次世代機能性材料の創出が期待できるとしている。

 今回開発された「アトムハイブリッド法」は、樹状型の規則構造を持つ「デンドリマー」と呼ばれる特殊な高分子を鋳型として用い、デンドリマー構造中に多種多様な金属イオンを取り込み、その金属イオンを化学的に還元することで多元合金ナノ粒子を合成するもの。同研究はJST戦略的創造研究推進事業総括実施型研究で実施された。

 通常のナノ粒子よりもさらに小さな粒径1ナノメートルに達する極微小粒子においては金属同士の分離が起こらず、3種類を超える合金化が可能と考えられていたが、従来法では1ナノメートルの極微小領域で粒子サイズや混合比率を精密に制御して合金ナノ粒子を合成する技術は確立されていなかった。

© 株式会社鉄鋼新聞社