神戸製鋼、AI活用へ専任組織 素材開発期間を短縮・効率化、生産トラブルを未然防止

 神戸製鋼所は27日、素材事業や機械事業などの競争力強化に人工知能(AI)を活用するための専任組織を技術開発本部に新設すると発表した。最新AIを駆使し、製品開発と生産プロセスを高度化する狙いだ。鉄鋼やアルミ・銅など素材製品の開発では膨大なデータ解析で開発期間を短縮し開発効率を高めるほか、生産プロセス関連では生産トラブルを未然に防ぐための異常診断技術などにAIを生かす。

 10月1日付で「AI推進プロジェクト部」を新設。技術者約20人を専任者として配置する。

 新組織の活動の柱の一つが製品開発力の向上。膨大なデータ解析で開発期間を短縮する「マテリアルズ・インフォマティクス技術」の開発が大きなテーマだ。鉄やアルミ・銅など多様な製品開発の経験を生かした特徴あるデータベースを強みに製品開発のさらなる効率化や高度化を目指す。

 活動のもう一つの柱がものづくり力の強化だ。生産プロセスなどの異常診断技術や予知保全技術、製品検査の自動化などにAIを活用する。

 いずれの取り組みでも外部の知見を活用するオープンイノベーションの考え方を取り入れる。必要に応じて大学や研究機関、ITベンダーなど外部機関と連携。自社にない先端技術を融合し製品開発や生産現場の課題解決のスピードを速める。

 電力事業部門の火力発電所にもAIを活用。効率的で環境負荷の小さい運転の実現に向け機械学習や深層学習を活用する。

 神鋼は1980年代から製鉄所のプロセス制御分野を中心にAIの活用を推進。現行の中期経営計画(2016~20年度)ではITを活用した競争力強化策として、大量のデータを効率処理し有効活用する「データ活用活動」や、ディープラーニングを使った画像認識技術の活用、データ分析技術でテキストデータから有益な情報を取り出す「テキストマイニング」の活用を盛り込んでいる。

 AIの専任組織を設けることでAI技術に精通する人材育成にもつなげたい考え。

© 株式会社鉄鋼新聞社