茅ケ崎北陵高校、移転先は市内?市外?審議に疑問の声も

 県立茅ケ崎北陵高校(茅ケ崎市下寺尾)の校舎の建て替えを巡り、地元の茅ケ崎市議会の議決に「ぶれ」が生じている。6月定例会では市内に限らず市外も含めて移転先を検討するよう求める請願を採択したが、9月定例会では一転、市内に限定して選定するよう求める意見書を採択。「どっちつかず」とも受け取れる議決に、関係者からは戸惑いの声が上がっている。

 同校の校舎建て替えは、県教育委員会の移転先選びが難航。当初の計画から16年たった今も進展がなく、生徒は06年から民有地に建設されたプレハブの仮設校舎で授業を受けている。

 こうした状況に茅ケ崎市議会は6月、旧校舎地やその周辺に限定せず、市外を含めて移転先を検討し、早急に新築・移転することを県に求める請願を賛成多数で採択した。

 しかし、この請願採択に対して同校卒業生や地元住民らが「移転先が市外でもいいとはとんでもない」「間違った選択をしないでほしい」と反発して市内での移転を求める陳情を9月議会に提出すると、議会の対応は一転。19日の教育経済常任委員会で陳情を全会一致で採択し、28日の本会議でも議長と議員1人をのぞく25人が賛成に回った。

 賛成した議員らは「前回の議決を覆すようで格好悪いが、市内の地権者との交渉が進んでいると聞き、後押ししたい思いから賛成した」「市内最優先で移転先を探し、早期移転を実現するという点はぶれていない」と説明したが、ある県議からは「さまざまな市民の声を聞いた上で一定の方向性を見いだすのが議会の役割。市議会として、きちんと審議したのか疑問が残る」といった声も上がった。

 県教委は市内北部の移転先候補地があり、地権者と交渉中とした上で「市内か、市外かと空回りせず、早期の新築移転という点でぶれずに進めていきたい」と話している。

茅ケ崎北陵高校の仮設校舎

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