五輪ボランティア

 合計11万人というから、大村市の人口よりも多い。2020年の東京五輪とパラリンピックを支えるため、大会組織委員会と東京都が募集を始めたボランティアスタッフの確保目標だ▲トップアスリートが参集する世界最大のスポーツイベント。運営に少しでも携わり、一体感や充実感を味わいたいという人はいるだろう▲「日本人選手がメダルを獲得する瞬間を見ることができた」「外国人との触れ合いが楽しかった」。今年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪にボランティア参加した長崎外国語大の学生が語っていた。苦労しながら裏方を務めることが思い出づくりにもなる。そんな機会が東京では拡大するはず▲だが、地方からの参加は簡単ではなさそうだ。事前研修が必要で、大会期間中の宿泊の手配も費用も自己負担。交通費として支給されるのは一律1日千円分のプリペイドカードにすぎない。平昌では宿舎は確保されたと聞いたが▲真夏の酷暑が予想される中で「1日8時間程度」「10日以上が基本」という条件も厳しい。そうして参加しても、携わりたい競技や会場を選ぶことはできない。活動分野の希望が通るとも限らない▲これらの条件を承知した上で、ぜひ参加したいと手を挙げる人々が、運営側の期待通りに集まればよいのだが。11万人という数字は相当大きい。(泉)

© 株式会社長崎新聞社