西武・菊池雄星がソフトバンクに初勝利 年度別成績で見る長きトンネル

ソフトバンク相手に初勝利を挙げた西武・菊池雄星【写真:荒川祐史】

8シーズン目でソフトバンク相手に初勝利を挙げた菊池

 西武のエース、菊池雄星は、28日のソフトバンク戦で、7回を投げて失点3、自責点1で勝利。チームの優勝へのマジックを「1」とした。菊池はこれが通算73勝目だったが、何とソフトバンク戦は8シーズン目での初勝利だった。

 プロ野球の投手には相性がある。しかし、こうした「得手不得手」は、短期間の場合が多く菊池のように8シーズンもの長きにわたって特定のチームに勝てないのは異例だ。

菊池のソフトバンク戦、年度ごとの戦績

2011年 2試0勝0敗 5.2回2奪三振 防御率6.35
2012年 3試0勝2敗 17.2回12奪三振 防御率2.55
2013年 1試0勝0敗 6回3奪三振 防御率3.00
2014年 5試0勝4敗 30回21奪三振 防御率4.50
2015年 1試0勝1敗 5.1回4奪三振 防御率10.13
2016年 1試0勝1敗 6.1回6奪三振 防御率9.95
2017年 4試0勝4敗 20.1回16奪三振 防御率7.97
2018年 2試1勝1敗 15回16奪三振 防御率2.40

通算19試1勝13敗 106.1回80奪三振 防御率5.16

 2009年のドラフトで花巻東高の菊池雄星は6球団から指名された。高校No.1の左腕としてMLBも注目した逸材だったが、西武が当たりくじを引き当てた。1年目はファームで投げたが、2年目の2011年に一軍初登板、6月30日のオリックス戦で初勝利。以後、粗削りと言われながらもイニング数を重ねるうちにエースとして台頭してきた菊池だが、ソフトバンクには一度も勝てなかった。

 2012年9月5日、西武ドーム(当時)でのソフトバンク戦では、8.1回を投げて自責点1という好投を見せたが、味方の援護がなく白星が付かず(西武はサヨナラ勝ち)。あるいはこの試合で勝っていれば、その後の黒星トンネルはなかったかもしれない。2014年に5試合で4敗、以後はソフトバンク戦での登板そのものが少なくなっていった。

楽天戦で21勝を挙げるなどソフトバンク意外のパ球団から2桁勝利

菊池の球団別の通算成績

(楽)35試21勝6敗 240回216奪三振 防御率2.36
(オ)30試13勝6敗1SV 179.2回162奪三振 防御率2.40
(ロ)27試14勝8敗 181回162奪三振 防御率2.78
(日)25試10勝11敗 157.1回132奪三振 防御率2.69
(ソ)19試1勝13敗 106.1回80奪三振 防御率5.16
(神)6試5勝0敗 36.1回38奪三振 防御率2.72
(De)5試3勝1敗 36回38奪三振 防御率1.75
(巨)5試2勝1敗 29回24奪三振 防御率3.10
(中)3試2勝0敗 25回26奪三振 防御率1.08
(ヤ)2試2勝0敗 13回14奪三振 防御率2.08
(広)1試0勝0敗 7回11奪三振 防御率2.57

通算157試73勝46敗 1010.2回892奪三振 防御率2.74

 楽天からの21勝をはじめ、ソフトバンクを除くパの4球団からは2桁の白星を挙げている。防御率も2点台。ソフトバンク戦の1勝13敗防御率5.16は、極めて異常な数字だ。菊池はこれで10球団から勝利を挙げた。広島戦は通算でもわずか1試合しか登板せず未勝利。

 菊池雄星は今オフにMLB挑戦を表明するといわれている。その前に、大の苦手のソフトバンクを克服することができたのは、大きな自信になるのではないだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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