極彩色の風 和華蘭 長崎くんち・6 本古川町・御座船 演出に磨き 一体感表現

 格調高い囃子(はやし)と迫力ある船回しが魅力の本古川町「御座船」。テーマは前回に続き「スピード、パワー、気迫」。長采(ながざい)・田代直樹さん(44)の目の前に船が迫る「寸止め」が観客を沸かせる。
 御座船は、江戸時代に西国大名が参勤交代などに使っていた「海御座船」を題材にしている。囃子は1954年、同町に暮らしていた故杵屋和三八氏が作曲。楽譜などがあるわけではなく、口伝で継承されてきた。
 今回、一体感と勇ましさを表現するため、根曳(ねびき)衆が片肌を脱ぐ際に、陣羽織姿の囃子と軍装で身を包んだ船長(ふなおさ)も同時に右腕を動かす演出を加えた。提案したのは、奉納踊りを総合的に演出したり指揮を執ったりしている御座船委員長の田代英樹さん(51)。直樹さんの兄で、2004、11年に長采を務めた。同町の恒例となりつつある根曳衆の丸刈り姿や、采を地面にたたき付けて音を鳴らす演出も英樹さんが考えたものだ。
 時代に合わせ、女子の囃子も初めて出演。SNSなどを通じた根曳の募集も実施した。直樹さんは「次は誰が長采をするか分からないが、良いところは継承してもらえれば、間違いではなかったと思える」と話す。「今回出る人や奉納を見た人が、次回関わってくれれば」と期待を寄せた。

迫力ある船回しと格調高い囃子が特徴の御座船=長崎市上西山町、諏訪神社

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