ベテラン選手が息の長い働きを見せる一方、「若手が育たない」とも言われてきたイタリア。
しかしワールドカップ・ロシア大会への出場を逃すと、国内リーグではBチームの発足など、各クラブが有望な若手の育成に力を入れ始めている。
今回はそんな急速な変化が生じている“改革一年目”のイタリアで、ブレイクしそうな若手たちを見ていこう。
クシシュストフ・ピョンテク
今夏ジェノアに加入したピョンテクの“サクセスストーリー”は大きな展開を迎えるかもしれない。
伸び盛りな23歳のFWはプレシーズンマッチから数えて既に20ゴールを記録しており、今季のヨーロッパ5大リーグにおいて公式戦10ゴール最速記録を打ち立てたのだ。
ポーランドでは「レヴァンドフスキの後継者」と言われているが、実際のプレースタイルはかなり違う。ファーストタッチとシュート技術は傑出したものがあり、ハリー・ケインのようにどんな相手でも対応することができる。
劣勢の中でも点を取れる選手で、チームにとっては貴重な存在となるだろう。これからの躍進に期待だ。
ロドリゴ・ベンタンクール
ユヴェントスに所属するウルグアイ代表MF。絶対王者のユーヴェでは信頼こそ得ているものの、分厚い選手層に阻まれ出場機会に恵まれていない状況である。
しかしウルグアイ代表では今や中盤の欠かせない選手となっており、ワールドカップではベスト8進出の立役者といっても過言ではないパフォーマンスを見せた。
キープ力と展開力、中盤ならどこでもプレーできるポリバレント性が魅力であり、ウルグアイ代表には無かったものをもたらしている。
しかし、ユーヴェにはピャニッチがいるため、更なる付加価値を付け加えることができるかどうかがブレイクのカギ。もっとアグレッシブなプレーが求められる。
ニコラ・ミレンコヴィッチ
有望な若手が多いフィオレンティーナでブレイクの兆しを見せているDF。20歳ながらセルビア代表としてワールドカップにも出場し立派なパフォーマンスを見せた。
フランス代表バンジャマン・パヴァールのようにCBとSBが高いレベルでできるが、より守備的な選手でパヴァールほど攻撃での貢献はない。
守備に関しては特にポジショニングが良く、敵の攻撃を事前に摘み取っていく。また195cmもあり、空中戦でも強さを見せる。
今年の夏の市場ではオファーが殺到した模様で4000万ユーロ(52.8億円)のオファーさえ断ったらしい。今後も高騰することが予想され来年はどこにいるだろうか。フィオレンティーナの好調を支えるミレンコヴィッチには注目だ。
ポル・リロラ
サッスオーロに所属するスペインU-21代表サイドバック。
昨シーズン、イアキーニ監督の守備的なチームでは長所である積極的な攻撃が身を潜めブレイクの機会を逃した。しかしグアルディオラを愛し、ポジショナルサッカーを志向するデ・ゼルビ監督の元でブレイクの兆しを見せている。
これまでは攻撃での貢献はあったが、軽い守備で台無しにすることも。しかし今シーズンはイアキーニの恩恵もあってか、全ての局面で貢献できるようになった。
彼はオーバーラップとインナーラップのタイミングが特に抜群で攻撃を活性化させる。課題はチームの調子にパフォーマンスが左右されがちなため、どんな状況でもチームを助けられるかどうかだ。
ラウタロ・マルティネス
インテルに加入した若きアルゼンチン代表FW。栄光の10番を着けており、インテルのフロントからも厚い信頼を得ている。
プレーシーズンマッチではチームに早速フィットしゴールを決め、順調なスタートを切ったかと思いきや怪我で出遅れてしまった。
同胞のアグエロやグリーズマンを組み合わせたようなプレースタイルを持ち、トップ下やCFとしてプレーすることが多い。
インテルでは主にナインゴランとの厳しいポジション争いがあり、継続的な出場は難しいかもしれないが、全く違うキャラクターを持っているため、短い時間で違いを作れるかどうかが今後を左右するだろう。