福井国体レスリング 松坂(自衛隊体育学校)優勝 自信取り戻す初V 夢の東京へチーム長崎と共に

 第73回国民体育大会「福井しあわせ元気国体」第3日は1日、各地で16競技が行われ、長崎県勢はレスリング成年男子フリースタイル86キロ級の松坂誠應(自衛隊体育学校)が初優勝を飾った。松坂は今大会の長崎県勢優勝第1号。

 レスリング勢は松坂のほか、少年男子フリースタイル55キロ級の内野浩聖(島原高)ら3人が5位入賞。500メートルに臨んだカヌースプリント勢は少年男子カナディアンペアの高比良海斗・柴田滉士組(長崎鶴洋高)、少年女子カヤックペアの田邊美帆・中野愛花組(西陵高・長崎西高)が決勝に進んだのをはじめ、成年男子カヤックシングルの水本圭治(チョープロ)ら計4艇が準決勝に勝ち上がった。ボート勢は成年男子のかじ付きフォアとダブルスカルの一瀬瑞樹・斧澤友寛組(チョープロ)が準決勝に進んだ。

 団体は剣道少年女子が3位入賞。ソフトボール少年男子は順当に8強入りした。相撲成年も予選3戦全勝で決勝トーナメント進出を決めた。

 一方、上位進出が期待されていたソフトボール成年男子と少年女子は初戦敗退。卓球少年女子は3回戦で大阪に敗れた。

 ■松坂 自信取り戻す初V 夢の東京へチーム長崎と共に

 こんなに晴れやかな気分はいつ以来だろう。古里から遠く離れた地で、一人で悩み、もがいていた。そんな苦しさから解放してくれると同時に、自信まで取り戻させてくれたのは、やはり「チーム長崎」だった。

 レスリング成年男子フリースタイル86キロ級。松坂(自衛隊体育学校)は地元の仲間たちの前で躍動した。2020年東京五輪のホープと言われてきた24歳が、勝てなかった苦しい時期を乗り越えて、再び全国の頂点に上り詰めた。

 昨夏の世界選手権に日本代表として出場。だが、その後は全国大会で2位ばかりだった。どんなに体の調子が良くても、最後まで勝ちきれない。「何でうまくいかないんだろう」。初めて味わうスランプだった。

 悩んだ末に選択したのは「原点回帰」。構えの姿勢、重心の高さ。一つ一つを見直す作業に多くの時間を割いた。シーズン中としては異例の試みだったが、一回り成長するための賭けに出た。

 迎えた今大会。慣れ親しんだ地元の仲間、コーチ陣の声援が耳に届くと、不思議と力が湧いてきた。基礎を大事にしたことで、守りの安定感、柔軟性も増していた。ヤマと見ていた準々決勝を僅差で逃げ切ると、準決勝、決勝はポイントを許さずに快勝。昨年6月以来の全国優勝になった。

 今回、身に染みて実感したのが地元の力の大きさ。「これからも長崎のユニホームを着て力をもらいたいし、地元に貢献したい」。きっと、その延長線上に夢の東京五輪が待っている。迷いがなくなった後のすっきりした笑顔が、表彰台の一番高い位置で輝いた。

【レスリング成年男子フリースタイル86キロ級決勝】第2ピリオド、積極的に攻める松坂(自衛隊体育学校、上)=おおい町総合運動公園体育館

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