65年ぶりに破るか「14」の壁 鷹・上林、7戦残して歴代5位タイの13三塁打

ソフトバンク・上林誠知【写真:藤浦一都】

13三塁打は14人が記録も、14三塁打以上はすべて65年以上前の記録

 シーズン最終盤、個人記録もいよいよ大詰めだが、ソフトバンクの上林誠知が、65年ぶりの記録まであと「1」と迫っている。

シーズン三塁打記録5傑 ※は現役

1位 18 金田正泰(大阪1951年)
2位 16 レインズ(阪急1953年)
3位 15 蔭山和夫(南海1950年)
4位 14 鈴木清一(セネタース1946年)
5位 13 鬼頭数雄(ライオン1940年)
5位 13 金田正泰(阪神1946年)
5位 13 藤村富美男(大阪1948年)
5位 13 蔭山和夫(南海1951年)
5位 13 バルボン(阪急1955年)
5位 13 関口清治(西鉄1956年)
5位 13 箱田淳(国鉄1956年)
5位 13 毒島章一(東映1957年)
5位 13 吉岡悟(太平洋1976年)
5位 13 松井稼頭央(西武1997年)※
5位 13 村松有人(ダイエー2003年)
5位 13 鉄平(楽天2009年)
5位 13 西川遥輝(日本ハム2014年)※
5位 13 上林誠知(ソフトバンク2018年)※

 三塁打のNPB記録は、大阪タイガース、ダイナマイト打線の一人だった金田正泰(元阪神監督)の18。シーズン14三塁打以上は4人いるが、すべて65年以上前の記録だ。5位タイのシーズン13三塁打は2018年の上林を含め、14人が記録している。21世紀に入ってからも4人が記録しているが、「14」の壁を誰も破っていない。

三塁打5傑はほとんどが20代のうちに記録を達成

 三塁打は俊足と長打力を共に備えないと量産できない。また、脚力がある若いうちでなければ三塁まで到達するのは難しい。三塁打5傑には錚々たる打者が並んでいるが、そのほとんどが20代のうちにこの記録を達成している。

 最近は外野守備能力が向上し、三塁打は減少傾向にある。また三塁コーチも三塁での憤死を防ぐために二塁を回った選手に自重させるケースが多くなっている。2リーグに分立した1950年、セ・パ両リーグの三塁打は総計553本、1試合当たり0.56本だったが、2018年は10月1日時点で300本ちょうど。1試合当たり0.36本になっている。

 上林誠知は23歳。2013年、仙台育英高からドラフト4位でソフトバンクに入団。昨年からレギュラーになった若手外野手だ。今季は打率、本塁打ともに昨年よりアップ、塁打数も180から258へと大幅に増加している。盗塁数は12で昨年と同じだが、盗塁死は12から4へと減少した。走塁技術も向上したと考えられる。

 ソフトバンクの残り試合は「7」。上林は65年破られなかった「14」の壁を破ることができるだろうか。そのチャンスが来たら、三塁コーチも記録更新のために、思い切って腕を振ってほしいものだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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