本庶さん「祝意」の立て看も撤去 京都大

左は2018年5月の京都大正門付近、右はノーベル賞受賞が決まり記者会見する本庶佑京都大特別教授=18年10月1日夜、京都大

 京都大吉田キャンパス周辺でノーベル医学生理学賞の受賞が決まった本庶佑特別教授を祝福する立て看板や張り紙が設置・掲示されたが、10月2日朝、大学側によって撤去された。「本庶先生おめでとうございます」など学生側の祝意を伝える内容とみられる。今年5月から京大は京都市の屋外広告の規制条例に基づき、学校周辺から立て看板などの撤去を続けており、「例外は認められない」としている。(共同通信=柴田友明)

 2日朝に出勤してきた職員が気付いた。立て看板には「祝ノーベル医学生理学賞!本庶佑先生 京大の誇り! 癌治療に希望!」、張り紙には「ノーベル賞おめでとうございます」などと書かれ、金メダルの絵も描かれていたという。

 京都大の広報担当者は電話取材に「条例があるため、(本庶先生の祝意とは言え)そこだけ認めるわけにはいかない」と答えた。京都大の山極寿一学長は7月の記者懇談会で「京都市の条例に違反していると言われたら、改善の措置を取らないといけない」「個人の考えとしては、いったん(立て看板を)ゼロにすることで、京大の文化、自由な学風とは何かを、学生も教職員も考える機会になればいいと思った」と語っている。

 京都市は2012年以降、歴史的な景観保全のため京大を繰り返し指導。京大は今年5月、立て看板設置をキャンパス内に限定する規定を施行し、公道に面した看板の撤去を続けているが、学生側が新たな看板を置くなど、いたちごっこが続いている。

 1980年代に都内で学生時代を過ごした筆者にとって、キャンパス内外に立て看板が所狭しと掲げられている光景が「当たり前だった」だけに、今昔の感に堪えない。今や東大でも早大でもめっきり少なくなった。

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