命を救うノーベル賞研究 “取材”ジャーナリスト生解説

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ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった京都大学の本庶佑特別教授(76)。
本庶特別教授にこれまで取材をしてきた医療ジャーナリスト・塚崎朝子氏の解説です。

(本庶特別教授は、免疫細胞の働きにブレーキをかけている「PD-1」というものを発見し、これが、がん治療薬の「オプジーボ」につながったということだが、これはどれぐらいすごいことなのか?)
日々、がんの報道ってされると思うんですけど、有名著名人が亡くなったと。

今、年間900万人の方が、がんで命を亡くしていますね。
日本で、3人に1人といわれています。

がんには、3大療法というのがあって、手術で取れれば、それはいいですね。

あと放射線で、最近はかなりピンポイントで当てられますから、それで消えちゃったらいいですね。

純粋に広がったりとか転移したりすると、薬を使うしかないんですが、従来の抗がん剤だと、結構副作用があって、髪が抜けたりとかいろいろありますよね。

これは免疫療法という意味で、一応、薬は薬なんですが、全く新しいタイプの薬で。

従来は外から攻撃するがん細胞を、自分の内側の免疫力を高めることによって...。
高めるというか、高めるとは逆で、免疫にブレーキをかけていたのが、PD-1なんですね。

そのブレーキを外すことで治療しようという、画期的なコンセプトです。

(塚崎さんは、これまで本庶特別教授を取材されている中で、「怖い人」という表現を)
それは、山中伸弥氏がおっしゃっていた、やっぱり長いこと、日本の医療界・医学界のスーパースターでいらっしゃって、カリスマ性もあるし。
画面で初めて見ても怖い、厳しい感じですね。

でも、信念をもって研究のためにと、それこそ、非常に尊敬できます。

(カリスマ性があって非常にストイック。そういった部分での「怖い人」という表現。
そんな本庶特別教授だが、PD-1を発見したのは偶然だったと。この偶然を見逃さないことが大切なんだというふうに話し、これが開発につながったと)

本庶先生は、がんの専門家じゃないんです。
免疫の専門家なんですけれども。

たまたま本庶先生のところに、1990年代にいらした学生さんが見つけたのがPD-1だったんですが。
それはもともと、がんとは何の関係もないところで見つかったんですけどでも、これは何してるんだろう、何してるんだろうって、PD-1を抑えてみたら、がん細胞の増殖も抑制されたとか、そういうことが、どんどんわかってくるんですね。

その段階で、先生は、がんに使えるということを見抜いたと思います。

(オプジーボは、一番最初に、わたしたちが普通にやると、体重60kgの人だと、1年間で3,500万円。それが今でも1,000万円ちょっとの年間の薬代がかかる。高い、かといって命に代えられないという中で、この薬の価格をどう見たらいい?)
日本の薬価制度って、かなり透明な形で決まっているんです。

オプジーボというのは、もともと治療法がほとんどない、皮膚がんのメラノーマというものに対して適用が決まったんですね。

そうすると、1,500人しか患者がいないのに、こういう薬を開発したので、それを割り算すると、一人頭これぐらいしないとという価格なので。

ただ、免疫に働きかけるということは、いろんながんに効くというのは、当初から言われていたので、今どんどん、肺がん、胃がんと広がっていますよね。

そうすると、掛け算ですから、薬価を下げることができるし、今後、下がってくると思います。

(効果が2~3割というのも気になる。本当に重篤ながんの方でも、2割の方しか救えないというのも現実的な話で。この数字は上げる方法はあるのか、見通しは?)
それは、上げるといっていいのかわからないけれども、個々人で多様性があるので、同じ薬が効く人、効かない人といたりしますので。

まず1つは、上げるといっていいかわかりませんが、あらかじめ効く人がわかれば、医療経済的には、かなりハッピーなことになりますよね。

効かない人には、とても残念なんですが、そういうマーカーを開発したりとか。

あとは、同時にアリソンという人が、別の免疫チェックポイントを見つけているんですね。

こっちを抑えて、こっちを抑えて、両方とも抑えてみるとか。

あとは免疫のブレーキを外して、免疫を高めてみるとか、いろいろ組み合わせることで、ほかの免疫療法と組み合わせることで、上げることはできるかと思います。