号砲 県議選 16選挙区の構図② 佐世保市・北松浦郡区(定数9) 一転 激戦の可能性

 大型の台風24号が日本本土に接近していた9月29日午前。佐世保市でも雲行きが怪しくなる中、宮内雪夫は地元の保育園へ向かった。屋内で開かれた運動会で園児や職員を激励。その後、市南部の保育園の運動会にも足を運ぶなど、精力的な姿を見せた。
 強固な後援会組織をバックに、現職最多の12期目を誇る。だが、2月に自らが理事長を務める社会福祉法人の職員から寄付を集めたり、秘書活動をさせたりした問題が発覚。県が特別監査をしている。さらにこの春、後援会事務所を長年支えてきた幹部も辞職。周囲からは「高齢でもあり、次は出馬できないのではないか」とささやかれるが、宮内は「やましいことはしていない。気力、体力とも衰えはない」と一蹴する。
 宮内を含め自民は9議席中5議席を占有。ほかの現職も出馬の準備を進める。市南部が地盤の田中愛国、市北部の漁業者票やカトリック票を持つ溝口芙美雄は、ともにこの4年で議長を経験した実績をアピール。青年会議所(JC)票に支えられる外間雅広や、旧北松浦郡区を基盤とする吉村洋も再選を目指す。
 これに加え、自民の現職国会議員の秘書経験がある山下博史が初参戦。地元の有力建設会社の支援を受け、市中心部などで支持拡大を狙う。
 一方、2議席を有する国民民主は、佐世保重工労組出身の久野哲が引退する予定だが、後継者選びは難航。労組からの擁立は困難とみて、9月に国民民主の元衆院議員、宮島大典に立候補を要請した。ただ、宮島は次期衆院選4区の公認候補に内定しており、「熟慮して決めたい」と返事を保留している。もう一つの議席を守る山田朋子は、労組票や元衆院議員の父・正彦の支援者を軸に動いている。
 公明は宮本法広が支持母体の創価学会票を中心に、個人票の上積みを図る。社民は党県連代表の吉村庄二が引退。県平和運動センター副議長の堤典子が受け継ぐ。
 共産は立候補予定者を内定しており、「近いうちに公表する」。前回出馬した元市議も支援者から再挑戦を望む声があり、今後対応を判断する。
 4年前は秋の時点で現職以外に有力な候補者は見当たらず、「無投票」の観測さえ流れた佐世保市・北松浦郡区。今回はすでに新人が動きだしているほか、立候補予定者はさらに増える見込みで、前回とは一転して激しい選挙戦になる可能性が出ている。=文中敬称略=

◎立候補予定者 

宮内 雪夫 85 自現(12)
田中 愛国 74 自現(6)
溝口芙美雄 71 自現(4)
外間 雅広 60 自現(3)
吉村  洋 61 自現(2)
山下 博史 43 自新 
山田 朋子 46 国現(3)
宮本 法広 45 公現(1)
堤  典子 60 社新 

 【お断り】立候補予定者名簿の政党は衆院勢力順(自民=自、立民=立、国民=国、公明=公、共産=共、社民=社、無所属=無)。政党内は現職-元職-新人の順で、当選回数(丸数字)ごとに五十音順。所属は公認申請予定を含む。

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