高周波帯で磁心損失低減、日立金属が新軟磁性材料 トランス部品など小型・省エネ化に寄与

 日立金属は2日、高周波特性に優れる低損失ソフトフェライトコア材料「ML27D」を開発し、10月から量産開始すると発表した。高周波帯での磁心損失を従来品比30%超改善しており、ネットワーク機器や自動車、スマートフォン搭載部品の小型・省エネ化に寄与する。高周波低損失材料のラインアップを拡充し、次世代パワー半導体用素子でも、より幅広い用途に対応できるようにする。

 ML27Dは、300~500キロヘルツ程度の周波数領域で優れた特性を示すマンガン―亜鉛系フェライト材料。同社の従来品(ML33D)に比べ同周波数帯における磁心損失を30%改善する。

 低温環境でも高温環境でも低損失のため、多様な使用環境で電源回路の消費電力と発熱量を抑えられる。この採用により、トランスやインダクター部品の高効率化、高信頼性化、小型軽量化がこれまで以上に期待できる。

 日立金属の高周波低損失材料としては「ML95S」(500キロヘルツ~2メガヘルツ帯)、「ML91S」(1~5メガヘルツ帯)などがある。ML27Dを加えることで、窒化ガリウムや炭化ケイ素を用いた次世代パワー半導体用素子でも、より幅広い用途に対応する。

 生産拠点は日立フェライト電子と日立金属(香港)・番禺工場。

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