三菱マテリアル、世界最小「フレークサーミスタ」開発 光通信モジュールを小型化

 三菱マテリアルは、長期信頼性に優れる世界最小のフレーク(表裏電極型)サーミスタ「VHシリーズ」を開発し、10月から量産を開始した。シリーズ最小のVH02では実装面積を従来比43%縮小し、光通信モジュールの軽薄短小化が可能。また、高温環境下で起こる熱膨張に対し、サーミスタ材料と金電極の接合面の密着性向上を図ることで熱ストレスを克服し、過酷な環境での長期信頼性試験で抵抗値変化がほとんどない「ゼロシフト」を実現した。

 今回開発されたのは、光通信用レーザーダイオード(LD)に使用されるサーモエレクトリッククーラー(TEC、熱電冷却分野で使用される冷却素子)の高精度温度制御用のフレークサーミスタ。同社はこれまでも光通信市場向けに高速・高精度な温度制御が可能なフレークサーミスタ「FHシリーズ」を販売してきたが、材料技術と精密加工技術を駆使し、さらなる小型化と高信頼性を同時に実現した。

 光通信関連市場では、携帯通信網の5G化によるインターネット通信の高速化、動画配信やクラウドサービスの普及拡大によるブロードバンド高速化や波長多重による大容量化が進展し、それに伴ってデータ伝送の高速大容量化が必須となり、次世代の光トランシーバの需要が高まっている。光トランシーバに内蔵されるLDは温度によって波長が変化するため、一定温度に保つにはTECとサーミスタを組み合わせることによる高精度な温度制御が不可欠となっている。

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