金属行人(10月3日付)

 日本人の2年ぶりの受賞に沸くノーベル賞。ただ〝裏のノーベル賞〟ともいわれる「イグノーベル賞」では、実は日本人が12年連続で受賞している▼イグノーベル賞は「人々を笑わせ、考えさせてくれる研究」や風変わりな研究、社会的事件などを起こした個人やグループに対して贈られる。ノーベル賞のパロディー的な位置付けだが、選考はノーベル賞受賞者を含むハーバード大学やマサチューセッツ工科大学の教授など複数の選考委員会を経る本格的なもの。地道な研究に注目を集め、科学の面白さを認識させてくれるという評価もある▼日本人は受賞の常連。今年は昭和伊南総合病院の堀内朗消化器病センター長が作成した論文「座位で行う大腸内視鏡検査―自ら試してわかった教訓」が受賞した。一見「くだらない」と思えるような研究でも、一流の学者らが真剣に取り組んだ発想や遊び心だから面白い▼かつて、軽量C形鋼は「穴あけ加工に便利だから、開口部のある品種を」というのがコンセプトの一つで開発された品種というのを聞いた。白ガス管の定尺が4メートルになったのは「現場の施工性を考慮して短くした」から。商売にも、真剣に考えた上での発想や遊び心がもっとあって良いかもしれない。

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