物質・材料研究機構（ＮＩＭＳ）は、豊田工業大学シカゴ校と共同で、科学技術論文から材料設計に必要なプロセス・構造・特性に関する因子とその相関関係を抽出し、整理・可視化するＡＩを開発したと発表した。数千編の科学技術論文に収録された知識を１枚の図として整理することで設計者の知識を補助し、合理的・効率的な材料設計が可能になる。関連研究をさらに推し進めるため、今回開発したＡＩのソースコードを無償公開している。
今回開発した材料設計支援ＡＩは、ユーザーが性能を規定するいくつかの特性を選ぶことで抽出された知識をもとに、特性と関連する構造、構造が制御可能なプロセスに関する因子とその相関関係を関連性の強さとともに図として表現する。
材料の性能は複数の特性で決まり、それらの特性は構造およびその構造を制御するプロセスと関連しているため、望む性能の材料を設計するためには対象とする特性と関連する構造やプロセスの因子とその相関関係を理解することで合理的・効率的に開発を進めることができる。
現在研究が進んでいるマテリアルズ・インフォマティクスでは、大量のデータがあれば深層学習を利用して因子や相関関係を抽出することが可能だが、相当量の材料データの取得・データベース化に労力がかかるため、プロセス・構造・特性・性能を関連付けた材料設計へのマテリアルズ・インフォマティクスの利用は困難だった。
