管製造の台湾・大成ステンレス、米でアルミ板製造に進出 アーコニックから400億円で工場取得

 自動車や航空機材料を手掛ける米アーコニックは1日、アルミ板製造を手掛ける米テクサーカナ工場(テキサス州)を台湾のステンレスパイプメーカー「大成ステンレス」(タ・チェン)に売却すると発表した。タ・チェンは米国子会社のタ・チェン・インターナショナルを通じて、総額3億5千万ドル(約400億円、条件付き対価最大5千万ドルを含む)で取得する。米国でアルミ板などの販売事業を展開しているタ・チェンだが、アルミ板の製造事業に参入して成長を狙う。

 テクサーカナ工場を取得するタ・チェンは、台湾でステンレスパイプの製造や欧州のアルミ板材を販売する事業を手掛ける傍ら、米国・カナダでもタ・チェン・インターナショナルが子会社を通じてステンレスやアルミコイルの販売を展開している。トランプ政権がアルミ製品に追加関税を導入する中で、今年春には米国で新しくアルミ板圧延工場の建設に10億ドルを投じる計画を公表するなどアルミ板製造に強い意欲を示していた。

 一方、アーコニックにとってテクサーカナ工場は主力工場ではなく、リーマンショック以降は遊休工場という立ち位置にあった製造拠点。今年に入りアルミ板設備の再稼働という計画も浮上していたが「工業製品向けアルミ需要が堅調な中、数年間にわたって休止していた資産を売却する機会に巡り合った」(ティム・マイヤー氏)とし、工場の売却を決めた。取引は今年10~12月期中に完了させる計画。売却資金など経営資源は、注力分野である航空機や自動車用材料に集中させるもようだ。

 テクサーカナ工場は自動車や航空機、輸送機、産業機器向けのアルミコイル・シートを製造するアルミ板圧延工場。アーコニックのグローバル・ロールド・プロダクツ部門に属し、従業員数は約90人。リーマンショック後の2009年に設備休止状態に入っていたが、15年から鋳造を再開。今年8月には1400万ドルを投じて19年1月までに圧延機などの設備を再稼働させる計画を示していた。

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