てんかん発作時の対応 危険物避け、付き添う

 てんかんのある人は全国に約100万人と推定され、決してまれな病気ではありません。では、てんかんの発作が起きた場合に、家族や周囲の人は、どのように対応したらいいのでしょうか。熊本大病院小児在宅医療支援センターの百崎謙・特任助教(日本てんかん学会専門医・指導医)に教えてもらいました。(高本文明)

-てんかんの発作が起きた場合に心がけることは何ですか。

 「発作を目の当たりにすると、誰でも気が動転してしまうかもしれません。まず慌てず落ち着いて行動することが大切です」

 -発作で倒れた場合には、どう対処したらいいですか。

 「体が突っ張って硬直したり、突然脱力したりする発作では、転倒してしまいます。周囲に危険な物があれば、避けてゆっくり寝かせます」

 「全身けいれんが起きた場合、通常1~2分以内に治まり、その後、10~20分で意識が回復します。頭をぶつけないように守り、熱い物やとがった物などを遠ざけるようにします。特に食事の時には気をつけてください。発作を無理に止めようとしても止まりません。また、水や飲み物を飲ませたり、口に物を入れたりしないでください。かえって喉に詰まらせたり、嘔吐[おうと]を起こしたりします」

 -倒れない発作が起きた場合には。

 「声かけに反応せずボーッとした様子の場合には、やはり危険な物を遠ざけます。意識がもうろうとした状態となり、歩き回ることもありますが、無理に制止せず、そばに付き添って見守ってください」

 -発作が終わった後は。

 「呼吸しやすいように服のボタンを外したり、眼鏡を外したり、周囲の危険物を避け、安全な場所に移してください。横に向けて寝かせて、そばに付き添いましょう。発作が治まった後で吐くこともあるため、目を離さないようにしてください」

 -救急車は呼んだ方がいいのでしょうか。

 「発作にはその人それぞれのパターンがありますが、ほとんどの発作では、救急車は不要です。通常は5分以内に自然に止まります。強い発作が5分以上続くなど、ふだん起きている発作より強く長い発作や、意識の回復が遅いとき、けがや高熱など病気のサインがあるときは、救急車を呼びましょう」

 -日常生活で気をつけることは何ですか。

 「むやみに行動を制限し過ぎる必要はなく、発作が止まっている場合は、学校生活でもプールなどを制限する必要はありません。薬の服用が最も大事ですので、くれぐれも飲み忘れがないようにお願いします」

 -入浴中の発作が大変危険ですね。

 「日本人は湯船に漬かる習慣がありますが、入浴中の発作は、患者さんの命に関わる場合が多く、十分な注意が必要です。ほっと一息をついたリラックスした状態は発作が起こりやすいのです。また“子どもは静かに溺れます”ともいわれ、家族が一緒に入浴するなどして、特に目配りをしてください。発作を繰り返す人は、できれば湯船に漬からずシャワーを使う、発作が起きたらすぐに浴槽の栓を抜くといった対処が必要です」

 -学校や職場などで発作への対応に理解を求めるには。

 「発作が起きたときに、ふだん家族が穏やかに落ち着いて対応している様子を伝えてください。できればその様子をスマートフォンなどで動画に収めておいて、学校や職場で信頼できるキーパーソンの方に見せておくとよいでしょう。そうすれば対処する際の不安を和らげることができると思います」

(2018年10月3日付 熊本日日新聞夕刊掲載)

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