<自民総裁選>石破氏、なぜ山形で善戦? 父母の縁、判官びいきの感情…背景を探る

©株式会社河北新報社

自民党総裁選の開票作業に当たる山形県連関係者ら=9月20日、山形市の県連事務所

 安倍晋三首相が連続3選された自民党総裁選で、山形県では石破茂元幹事長が4402票(得票率58.1%)を獲得し、安倍氏を1230票引き離した。全国で石破氏が安倍氏を上回る党員・党友の支持を集めたのは10県で、東北では山形だけ。石破氏の予想外の善戦を東北から支えた山形特有の背景を探った。(山形総局・菊地弘志)

<道の駅開設に尽力>

 「山形県がなければ今の私はありません」

 石破氏が都道府県別に7分近いメッセージ動画を発信した総裁選特設サイトの山形編は、こんな言葉から始まった。

 母方の祖父は1934~36年に官選の山形県知事を務めた金森太郎(1888~1958年)。金森の娘と、山形県に保安課長として赴任してきた内務官僚石破二朗(08~81年、後に自治相)との間に生まれた出自に触れ、「ありがたいご縁を感じております」と親しみを込めて語り掛けた。

 農林水産相や地方創生担当相を歴任した石破氏はこれまでも頻繁に山形県を訪れ、国政、地方を問わず選挙の際には候補者の応援に力を入れた。前回の2012年総裁選でも石破氏は県内党員・党友票の7割近くを獲得し、安倍氏に約3000票差をつける強さを発揮した。

 今回の総裁選で後藤源県議(米沢選挙区)は石破氏支持を鮮明に掲げ、地元の党員らにも積極的に支持を呼び掛けた。

 国の「重点道の駅」として4月にオープンした道の駅「米沢」は、地方創生担当相時代の石破氏への要望が実った結果だったとアピール。後藤県議は「(石破氏が)米沢に来た際は地酒の銘柄を褒め、聴衆の心をつかんだ。事前に調べたのだろう」と振り返る。

<陣営 強く働き掛け>

 最上地方の党員も「山形にまめに足を運んでいる石破氏に親近感を覚える人は多い」と話す。「今回は結果(安倍氏3選)が明らかな中、判官びいきの感情もあったかもしれない。一度名前を書いたら移り気にならないのが山形人気質」とみる。

 県内の党国会議員は4人のうち3人が安倍氏、1人が石破氏に投票したとみられる。4人は竹下派(衆院)、岸田派、非派閥の谷垣グループのいずれかに所属し、安倍氏の出身派閥で最大勢力の細田派はいない。

 党県連幹部は「アベノミクスの浸透を実感できない経営者もいる。自身はともかく、支持者の投票先は自主判断に任せたようだ」と分析。一方「重点県だったのだろう。石破陣営の働き掛けが強かった」と受け止めた党関係者も少なくない。

 県議の一人は「石破氏の地元鳥取県と山形県はともに日本海側に位置し、交通インフラが未整備で過疎や高齢化に直面している」と指摘。「地方の実情に通じた主張にうなずける点が多くあったのではないか」と語る。