【MLB】大谷翔平の“格安”メジャー1年目を米メディア総括「莫大な金額を逃した代わり…」

エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

大谷の野球に取り組む姿勢を評価「辛抱強く、雑念を寄せ付けない」

 メジャー挑戦1年目で、二刀流の一大旋風を巻き起こしたエンゼルスの大谷翔平投手。右肘の内側側副靭帯損傷で一時戦線を離脱し、投手としては10試合の登板にとどまったが、打者として104試合に出場して打率.285をマーク。キャリアで最多となる22本塁打を放ち、61打点を記録した。

 チームはポストシーズン進出を逃し、早々とシーズンが終了。大谷はレギュラーシーズン終了翌日の10月1日(日本時間2日)に右肘の靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受け、来季の打者復帰、そして2020年の二刀流復活に向けてリハビリを進めていくことになる。

 日本ハムから海を渡り、メジャー1年目で驚くべき活躍を見せた大谷。ポスティングシステムを利用しての移籍となったが、2016年12月に結ばれた新労使協定でメジャー最低保障の54万5000ドル(約6200万円)という“破格の安さ”で夢だったメジャーの舞台に身を投じた。その激動の1年を、AP通信が振り返っている。
 
「オオタニがエンゼルスに入団することを決めて以降、辛抱強く、そして雑念を寄せ付けない彼の野球に対するアプローチは常に顕著だった」と、大谷の野球に取り組む真摯な姿勢を称賛。「日本でもう数年待っていれば得られたはずの莫大な金額を彼は逃したのだ。その代わりに、彼は駆け足でアメリカに渡り、投手・打者の両方でメジャーを席巻する長期にわたるプロセスを開始した」と、大金には目もくれず、自身の夢に邁進した二刀流右腕の歩みを称えている。

 今季は投手、打者としてシーズンをスタートさせた大谷。オープン戦での苦戦が嘘のように、開幕から結果を残して米国にもセンセーションを巻き起こした。6月7日(日本時間8日)に靭帯損傷が見つかり離脱。7月3日(同4日)に打者として復帰した。9月2日(3日)には投手復帰を果たしたが、新たな靭帯損傷が見つかった。それでも、すぐには手術には踏み切らず、シーズン終了まで打者としての出場を続け、結果、自己最多の22本塁打を放った。

チームとアメリカへの適応の早さも紹介「明らかに英語を理解している」

 AP通信も右肘の故障を抱えたまま、打者としてグラウンドに立ち続けた大谷の決断を評価。「右肘の手術が必要と判明した後でもなお、彼が10月まで打席に立ち続ける決断をしたことは、彼の同僚やコーチにとっては何の驚きでもなかった。そして、二刀流をしていくための長期的なプランを諦めることなく、来シーズンも打席に立つことを彼が画策していることもまた、何の驚きでもない」としている。

 活躍の要因をAP通信は「オオタニの粘り強さは、彼に備わっている最も素晴らしい強みの一つであることは証明済みだ。そしてそれは、並外れた才能を備えるアスリートに必ずしも見られる光景ではない」と指摘する。「彼が2か月間マウンドから遠ざかって、7月がスタートする際には打席で苦しんだ。しかし、彼は8月になって打率を.328とし、6本塁打18打点を挙げた。9月初旬にマウンドに復帰したものの好投とはいかず、トミー・ジョン手術が避けられない事態になってしまった。それでもオオタニは、驚くべきことに(手術が推奨されてから)最初の4試合で4本塁打、10打点を記録した」と、度重なる困難に直面しながらも、それを粘り強く乗り越えてきた点を驚きをもって伝えている。

 また、大谷のチームへの溶け込み、異国の地への適応の早さも紹介。「フィールド外においても、オオタニはオレンジカウンティーの地に素早く溶け込んだ。通訳のイッペイ・ミズハラがいるため、オオタニは公共の場で話す機会は少ないが、4月に比べて彼は明らかに英語を理解している。そして、チームバスの中で披露した“デスパシート”が証明したように、スペイン語に関しても同じことが言える」と伝えている。

 トミー・ジョン手術によって大谷の投手復帰は2020年とされる。まずは来季、早い時期での打者としての復帰を目指してリハビリを進めていくことになる。来季は“打者専念”となることから、AP通信は「エンゼルスはオオタニの二刀流の才能をサポートしていくことに、引き続き毅然とした態度で力を注いでいく一方で、『二刀流・オオタニが片方の能力に専念したら、彼は何を成し遂げてくれるのだろう』と言うことを、あらゆる人たちが待ち遠しく思っている」と、打者一刀流でどれほどの成績を残すかにも、期待を寄せている。(Full-Count編集部=AP)

© 株式会社Creative2