【素材技術で新市場に挑む シリーズ「EV化」企業編(2)】〈古河電工〉駆動モーター用第2世代巻線、3倍に拡販

高圧ワイヤハーネスに参入

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 電気自動車(EV)など新エネルギー車(NEV)では動力となる電気を送る用途で銅電線の使用量が拡大する。電線大手の古河電工は多彩な独自技術を生かし駆動モーター用巻線や高圧ワイヤハーネスで成長するNEV向け市場を捕捉する。

 同社の駆動モーター用巻線は無酸素銅線を平角状にした導体を中心に使用し、そこにエナメルとエンプラ樹脂を二重に被膜して製造。独自構造で高圧電流や熱への耐久性に加え、電気を一定方向に流すための絶縁被膜の伸びなどを向上させている。

 導体は溶接性・導電性に優れる高品位な無酸素銅線を生産性の高い連続鋳造法で製造できることが特長。外側の樹脂は電線製造と同じ押出で必要な場所に最適量をコーティングできるため、原価低減や軽量化が可能だ。

 トヨタ自動車の小型HVアクア向けを皮切りに2011年から供給開始。15年には材料選定を工夫し耐熱性を高めた第2世代品を市場に投入、着々と供給を拡大している。子会社の古河マグネットワイヤ三重工場で増産投資を進めつつ、今後3年間をめどに第2世代品の販売量をさらに3倍に増やす。

 高圧ワイヤハーネスは電池やモーター周りで自動車を動かす200~600Vの高圧電流を流す組み電線。大電流に対応するため、耐熱性や電磁波ノイズを拡散させないシールド性が求められる。さらに床下に敷設されるため飛び石などでも傷つかない耐久性も重要。

 古河電工では被覆成分を工夫し耐熱性と柔軟性を両立させた電線と、強度や軽さ、シールド性を兼ね備えた樹脂・アルミ複合構造の「SP(シールド・プラスチック)チューブ」を組み合わせ、昨年から市場に参入。今後は採用車種を広げながら事業を拡大させる。

 併せて軽量化にも注力しており「アルミ導体にしても径が太くならない電線の開発を進めている」(自動車部品副事業部門長の山井智之執行役員)。車内の電流分配に使うジョイントボックスについてもNEV用の高圧対応品を手掛け、ここでも軽量なアルミ導体の提案を視野に入れる。