化血研の事業承継 信頼回復へ組織見直し KMバイオロジクス・永里敏秋社長

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 ながさと・としあき 熊本大大学院薬学研究科修士課程修了。83年明治製菓入社。現在、MeijiSeikaファルマ取締役を兼任する。「自他共に認める酒豪」で、趣味はジム通いとゴルフ。益城町出身。

 血液製剤の不正製造問題を起こした化学及血清療法研究所(化血研)から製薬事業を承継した新会社「KMバイオロジクス」(熊本市北区)の永里敏秋社長(61)は3日、熊本日日新聞社のインタビューに応じた。信頼回復に向けた組織見直しに着手するとともに、経営合理化のため一部の赤字製品から撤退する可能性に言及した。(川崎浩平)

-7月2日の事業譲渡から丸3カ月。信頼回復をどう図っていきますか。

 「就任後にまず問題視したのは、現場の業務報告が私を含めた経営層まで上がってこない組織の在り方。不正製造発覚後に退職などで人員が減ったため、課長1人で複数課を束ねたり部長が課長を兼務したりする現場も生じ、指揮系統が不十分だった。部署の規模に見合った数の管理職を配置し、週1回必ず社長に報告が届くよう制度化した。業務全般の監査を担う職員を10月1日付で2人から4人に増やすなど監査機能充実も図った」

-旧化血研はワクチン、血液製剤など事業部ごとに“独立経営”する組織でした。

 「不正製造が長年にわたり続いたのは、縦割りで情報共有がなされなかったことが原因だ。各生産現場の責任の所在もあいまいだった。そこで従来の事業部制を解体し、来年1月に『工場制』に移行する。熊本事業所と菊池、阿蘇、合志の各生産現場に工場長と製造、品質管理の担当者を配置し、信頼性を保証する本社のチェック機能も強めたい」

-一般財団法人から株式会社に移行し、「利益マインド」と「コスト意識」の徹底を掲げています。

 「国の助成金がなくなり、自分たちで利益を出していく意識の醸成が大事だ。採算性の低い製品は整理する必要がある。主力の人体用ワクチンと血液製剤はニーズもあり、やめるわけにはいかないし、やめるつもりもない。しかし動物用ワクチンは売上規模が小さく、赤字品目も多い。当社だけでなく他社も製造している品目については顧客の理解を得た上で切りたい」

-ご自身も県出身ですが、熊本地震からの復旧に向けた課題や、今後の抱負を聞かせてください。

 「地震で被災したB型肝炎ワクチンの新しい製造棟は今春の稼働予定が遅れ、欠品が生じてしまう状況でご迷惑を掛けている。(競合他社に)奪われたシェアを取り戻すのは容易ではないだろう」

 「(雇用面など)当社に対する地元の期待の大きさを強く感じている。研究開発や営業などで、旧化血研と明治グループ双方の強みを相乗効果につなげながら、熊本で愛される企業として発展していきたい」

(2018年10月4日付 熊本日日新聞朝刊掲載)