「お寺の掲示板」SNSで大賞募集、衝撃の一言とは

8月19日にツイッターに投稿された超覚寺の掲示板(同寺提供)

 「輝け!お寺の掲示板大賞」と題する企画がSNSで開かれている。掲示板のグッとくる言葉を投稿してもらい、表彰する異色の企画。7月の開始直後は低調だったものの、一つの投稿をきっかけに注目度が一気に上昇した。全国から応募が寄せられ、なかには毎週のように自ら投稿する〝常連〟寺も登場するなど盛り上がりをみせている。(共同通信=松森好巨)

 大賞を企画したのは僧侶で仏教伝道協会に勤める江田智昭さん(42)。4月ごろ、高校野球地方大会の標語募集の案内を見たとき「これをお寺の掲示板でやるとおもしろいのでは」とひらめいたのが始まりだったそう。加えて、以前から仏教の教えを広めるためにSNSを使えないかと考えを巡らしていたこともあり、掲示板の写真をツイッターやインスタグラムで募集するという企画に結びついた。

 準備期間が短かく告知も十分にできなかったため、開始当初の投稿は低調だった。「このまま静かに終わるのかな」という江田さんの心配を吹き飛ばしたのは、7月中旬の一つの投稿だった。

 岐阜県内のお寺の掲示板を撮影したこの投稿。ツイッターで話題となり「いいね」やリツイートが合計で15万件近くに上った。すると、大賞そのものの注目度も高まり、ネットニュースや、全国紙にも取り上げられた。ハワイを含む全国各地から投稿が寄せられ、その数は9月末時点で300件を超えたという。

 ここまでの盛り上がりに江田さんは「公共的な空間に面した掲示板だったからなのでは」と分析する。

 「掲示してある内容は直接的ではなくても『宗教』。それなのに、活字ではなく掲示板という形で示されると抵抗感が薄らぐのではないでしょうか。寺に入る人は少なくなっても、寺の前を通る人の数は変わりません。だから、SNSで広まったり、マスメディアでも話題にしやすかったのではないかと思います」

 ◇  ◇

 投稿は誰でも何度でも送ることができる。その中には江田さんが「ラジオ番組のはがき職人のよう」と評するお寺が存在する。広島市中区にある超覚寺だ。

 「仏の顔は何度でも」「お墓参りは、ご先祖様とのオフ会」…超覚寺のツイッターには7月以降、毎週のように掲示板の写真がアップされている。

 「15年前ぐらいから毎週日曜日に貼り替えていました」と話すのは住職の和田隆恩さん(51)。大賞が始まったのを知ると「こういう企画を待っていた」。熱が入り、現在は週2回のペースで掲示板を更新し投稿している。

 有名人の発言や話題のドラマのせりふなど、さまざまな言葉が載っているが、心掛けていることは「お経から引用しない」「分かりやすい言葉を使う」こと。超覚寺は広島市の中心部にあり、学生らたくさんの人が寺の前を行き交う。実際、掲示板を見た人が詳しい内容が知りたいと寺を訪ねてきたこともあった。和田さんは言う。「掲示板はお寺の広告塔。若い人に興味を持ってもらうために、日々、生活のなかでアンテナを張って言葉を練っています」

 ◇  ◇

 投稿は10月31日まで受け付けている。詳しくは仏教伝道協会の「輝け!お寺の掲示板大賞2018」HPまで。

© 一般社団法人共同通信社