号砲 県議選 16選挙区の構図④ 大村市区(定数3) 保守分裂に立民参戦

 自民現職の里脇清隆が2期目、2015年11月の大村市長選で敗れ、今年2月の県議補選で返り咲いた自民現職の松本洋介は4期目を目指す。昨夏の自民県議団の分裂で、県議会最大会派「自民党・県民会議」に合流した無所属現職の小林克敏が7期目を狙う中、自民新人の北村貴寿を含めると“自民系”4人の激戦に。そこへ、立憲民主新人の牧山大和が非自民を旗印に挑む構図となりそうだ。
 1日早朝。街頭に立った北村は通勤中の市民に向け、思いを訴えていた。松本、牧山との三つどもえの戦いとなった2月の県議補選では、昨年末まで所属した市議会最大会派の後押しを受けたが、あと一歩及ばなかった。「現職が強いのは世の常。次負けたらもう後がない」。支持層が里脇と重なる中、会員制交流サイト(SNS)などを駆使し「何とか同世代の票を掘り起こしたい」と悲壮感をにじませる。
 一方、4年前の前回は谷川弥一衆院議員(長崎3区)の全面的なバックアップを受け、党営選挙で臨んだ里脇。自民候補が2人だった前回に対し、今回は自民の票を3人で奪い合う形となる。「補選で北村に流れた支持者は戻ってきている」。手応えを感じつつも、共倒れを警戒。月に2、3回は県政報告会を開き「地力でどこまでやれるか真価が問われる」と、現職の強みを生かそうと必死だ。
 市長選での敗戦で、一度は政治生命の危機にひんしていた松本は、接戦が予想されていた補選を勝ち抜き政界に復帰。亡き父から引き継いだ“松本党”と呼ばれる強固な後援会も健在ぶりを示したが、支援者の高齢化は否めない。松本は「本選で浮動票はほとんどない。地道な活動で積み上げるしかない」と気を引き締める。
 「中村県政と園田市政のパイプ役として働いている自負がある。まだ若い人に負けてはおれん」。自民県議団の分派騒動で最大会派に合流した小林は「単なる無所属ではない」と自民現職2人をけん制。補選で洗礼を受けた北村と牧山について「知名度は低くない。激戦になる」とみる。後援会活動を徐々に活発化させながら臨戦態勢をとる。
 補選は民進公認で戦い敗れた牧山は「原発ゼロ」に共感し、8月に県連を立ち上げた立民に入った。「自民の総裁選の結果を見ても分かる。国民目線ではない」と語気を強め、「非自民の受け皿として大きなうねりをつくりたい」と意気込む。分厚い保守地盤の大村で広がりは未知数だが、台風の目となるかに注目が集まる。=文中敬称略=(左海力也)

◎立候補予定者

松本 洋介 42 自現(3)
里脇 清隆 59 自現(1)
北村 貴寿 45 自新
牧山 大和 39 立新
小林 克敏 73 無現(6)

 【お断り】立候補予定者名簿の政党は衆院勢力順(自民=自、立民=立、国民=国、公明=公、共産=共、社民=社、無所属=無)。政党内は現職-元職-新人の順で、当選回数(丸数字)ごとに五十音順。所属は公認申請予定を含む。

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