【素材技術で新市場に挑む シリーズ「EV化」企業編(3)】〈JFEケミカル〉車載電池の負極材・コンバータ用部材、2本柱で販売拡大狙う

製鉄工程の副生品から一貫生産

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 JFEグループの化学メーカー、JFEケミカル(本社・東京都台東区、社長・鈴木彰氏)はリチウムイオン電池負極材、車載用コンバータに使うフェライトコアの2本柱で、新エネルギー車(NEV)の普及に備える。いずれも製鉄工程の副生品を原料に一貫生産できるのが強み。長年培ってきた研究開発力を駆使し、成長市場で存在感を示したい考えだ。

 JFEケミカルは、5~6社程度とされる日本の有力負極材メーカーの一角を占める。リチウムイオン電池用負極材への進出は1995年で、すでに20年の歴史を持つ。JFEケミカルの最大の特徴は、製鉄所のコークス炉で副生するコールタールピッチを原料にした量産態勢を整えている点だ。

 さらに人造黒鉛(球晶)系のほか、天然黒鉛系、ハードカーボン系の3種類の製造が可能で、顧客ニーズに応じて最適な製品をつくり込みできるのも強みだ。

 NEVに搭載するコンバータ(直流―直流型電圧変換器)の主要部材の一つフェライトコアは負極材よりもさらに古く、89年に家電製品向けの商業生産を始めた。

 フェライトコアも製鉄所の冷延工程で副生する酸化鉄を原料とする。一貫生産体制を整えているのは世界でもJFEグループだけで、日本市場ではもちろんトップシェアを誇る。

 NEV1台当たりのフェライトコア使用量は300グラムと、小型家電製品の10倍以上とされる。NEVが本格的に普及するのはまだ先だが、その時をにらみ、品質向上と合わせ安定供給体制の構築を図る考えだ。

 負極材、フェライトコアはいずれもNEVの性能に直結する重要部素材。それだけに顧客の品質要求は格段に高い。フェライトコアの場合、全数保証が取引の条件になるという。

 こうした中でJFEケミカルが顧客から高い評価を得ているのは、製造実力が高いことに加え、研究開発体制がしっかりしているからだ。負極材はケミカル研究所内の電池材料開発センターが、フェライトコアはケミカル研究所のほか倉敷、タイ両工場にある研究所が開発拠点を担い、同社の技術力、製品の品質を支えている。