中絶反対女性を公衆面前で回し蹴り ビデオ反響、200万回視聴

By 太田清

回し蹴りをする男性。ユーチューブから

 カナダ・トロントの街頭で中絶反対のデモ活動を行っていた女性に対し、中絶容認を唱える男性が回し蹴りをするなど暴行、女性がけがをする騒ぎとなった。北米を中心に活動する保守主義の非営利サイト「ライフ・サイト・ニュース」が暴行の様子を撮影したビデオ映像を公開したところ200万回近く視聴されたほか、ニューズウイークや英大衆紙サン(いずれも電子版)などが伝え、大きな反響を呼んでいる。 

 反中絶運動家のマリクレール・ビソネットさん(27)が9月30日、仲間と一緒に街頭でデモ活動をしていると、一人の男性が近づき、マジックペンでプラカードやデモ参加者の衣服に落書きを始めた。抗議し携帯電話での撮影を始めたビソネットさんらに対し、男性は暴行を受けた16歳の少女の中絶は認められるべきだなどと主張。ビソネットさんが中絶は殺人と同じだなどと反論すると、男性は親指を立てたり下げたりし、身をかがめた後にビソネットさんを回し蹴りした。 

 けりを受けビソネットさんは肩に軽いけがを負った上、携帯電話を飛ばされ撮影は中断した。「触らないで、警察を呼んで」と叫ぶビソネットさんをよそに、男性はそのまま立ち去った。 

 サンなどによると、男性は地元でヘアスタイリストとして働くジョーダン・ハントさんで、ヘアサロンはニュースを知り、ハントさんを解雇した。地元警察は暴行の疑いで捜査を始めた。ハントさんは「携帯電話を蹴るだけのつもりだった」と主張しているという。 

 ビソネットさんによると、中絶反対運動のデモで嫌がらせを受けたのはこれが初めてではなく、過去にも石を投げられたり、唾を吐かれたりしたほか、「おまえを暴行して子供ができても中絶しないのか」と脅されたこともあったという。 (共同通信=太田清)

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