社説(10/6):北海道地震1カ月/液状化の危険 周知と対策を

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 北海道胆振(いぶり)東部を震源とする地震の発生から6日で1カ月となる。5日には胆振中東部を震源として、最大震度5弱の地震が起きた。北の大地を襲った激震から1カ月がたつとはいえ、警戒を怠ってはならない。

 最大震度7を観測した9月の北海道地震であらためて注目されるのが、広範囲で発生した液状化の現象だ。

 札幌市清田区では、最大2メートルの地盤沈下や陥没が起き、多くの住宅が傾いたり道路が割れたりした。現場は1970年代に土砂で谷を埋め、造成した住宅地。盛り土の部分が泥状になり、被害をもたらしたという。

 液状化の原因調査には時間を要し、市が地盤改良などの工事に着手できるのは来春の見込み。被災者の生活再建の道のりはまだ遠い。

 札幌市は液状化のハザードマップを作成し、ホームページでも公表していた。清田区の液状化被害はおおむねマップ通りだったという。だが、そのリスクを知っていた住民は少なく、住民への周知が十分だったとは言い難い。

 全国的にみても、液状化の対策は進んでいないのが現状だ。国土交通省によると、液状化のハザードマップを作成している自治体は全国で約2割にとどまる。東北6県では19市町村にすぎず、宮城県では仙台市だけ、山形県は鶴岡市だけだ。

 その背景には、土砂災害などのハザードマップ作成は法律で義務付けられているが、液状化は地震防災対策特別措置法で「努力義務」とされていることがある。土地造成の経緯や地質などの調査に負担が大きいこともある。

 地震により液状化が起きる危険性の高い地域は、全国各地に存在するはずだ。自治体は土砂災害や洪水に限らず、液状化についてもハザードマップ作成を促進し、周知と対策を講じる必要がある。

 液状化は地震の揺れで、水分を含んだ砂質の地盤が液体のように流動化する現象。東日本大震災では、東京湾岸や利根川下流域など広範囲で発生し、甚大な宅地被害をもたらした。メカニズム解明と防止策が課題として浮上した経緯がある。

 これを受けて国交省は2013年に「宅地液状化防止事業」を創設。自治体が対策工事をする際、国が費用を助成する制度を設けた。

 だが、教訓が生かされているとは言えない。制度の利用実績は16年の熊本地震で液状化の被害を受けた自治体だけに限られ、危険はあっても被害が起きていない自治体の利用例はまだない。

 液状化の被害で人命が失われることは少ないかもしれない。地震対策では優先順位が低くなりがちだが、住民の財産や安全に関わる問題だ。

 自治体は液状化のリスクへの備えが今後求められよう。住宅地造成など土地利用の在り方も考える必要がある。