漁業施設 県管理「港湾」使用料、漁港の3倍超

新上五島などの漁業者 「格差なくして」訴え

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 長崎県が管理する港の敷地内に漁協が建てた冷蔵庫や漁具保管庫など漁業施設について、漁協や漁業者が県に支払う借地料(使用料)が「漁港」よりも「港湾」の方が高いことに、新上五島町内の漁業者から不満の声が出ている。漁業者は「港湾と漁港の“格差”をなくし、港湾の使用料を引き下げてほしい」と訴えている。

 長崎県によると、港は旅客船や貨物船などが入る「港湾」と、漁業に特化した「漁港」に使用目的によって分けられている。漁港の場合、漁業施設を敷地内に設置した際の使用料は、施設近くの地価などを基準に1平方メートル当たりの年間使用料を算出する。

 一方、港湾の場合、荷物の保管場所など「物干場及び物置場」の使用料は、1平方メートル当たり1368円(長崎港は1884円)の下限を設定。このため使用料が漁港よりも3倍以上も高額になる事例も出ている。

 漁協の共有施設の使用料は漁協の運営費から支払い、個人で使用する倉庫などの使用料は使用面積に応じて組合員が漁協を窓口に支払う。

 上五島町漁協の場合、青方郷の青方港は港湾のため、水揚げした魚を貯蔵する大曽冷蔵庫(床面積2690平方メートル)の使用料は1平方メートル当たり1368円を支払っており、減免措置を利用しても年間約220万円に上る。今里郷の上五島漁港にも漁具倉庫を設置しているが、周辺の地価を基準にした使用料は420円で、青方港の3分の1以下にとどまっている。

 同漁協関係者は「水揚げ額が減少しているのに使用料など固定費が変わらない」と頭を悩ませる。大曽冷蔵庫を解体し、規模を縮小して新築すれば数億円の費用がかかるとみられ、「漁協の負担は小さくない。青方港の使用料を引き下げてほしい」と切望する。

 新上五島町の若松町中央漁協も、港湾の若松港と郷ノ首港に漁船給油施設や餌の保管庫などを所有している。金田洋史参事は「使用料の差は10年以上前から出ている問題。県は目を向けてほしい」と話す。

 長崎県港湾課は使用料の「格差」について「港湾は大きな貨物船も入り、漁港より整備費用がかかる。使用料は整備費を基に設定している」と説明し、理解を求めている。

 新上五島町と五島市の計10漁協でつくる五島漁協組合長会の吉村寛会長は「県全体の漁業者が困っている問題だと思う。港湾の使用料が下がれば、現在使われていない港湾敷地内の県有地を借りる人が増え、有効活用にもつながるのではないか」と指摘している。

「港湾」の青方港に設置されている上五島町漁協の大曽冷蔵庫=新上五島町青方郷