WRC:2018年未勝のトヨタ・ラトバラが優勝射程圏。「ハードに攻めたらフィーリングが改善」

 10月6日に行われたWRC世界ラリー選手権第11戦ラリーGBの競技3日目、TOYOTA GAZOO Racing WRTは総合首位だったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)がラジエータートラブルでデイリタイアしたものの、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)とエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合2〜3番手の表彰台圏内につけている。

 ラリーGBの競技3日目は、イギリス・ウェールズ中部に広がる森林や丘陵を舞台にSS10〜18が行われた。

 前日、30秒近いリードを築いて総合首位につけていたタナクは、この日もペースを落とさず快走。一時は48秒までギャップを広げてみせる。

 しかし、終盤のSS16を走行中にラジエータートラブルが発生。エンジンへのダメージを避けるためにも走行続行を断念し、デイリタイアを選択した。

 チームはサービスパークでマシンの状況を精査しており、これを基に競技最終日へ出走するか判断するという。

 トヨタ勢の先頭を走っていたタナクが姿を消すことになったものの、チームメイトであるラトバラ、タナクは安定した走りで上位争いを繰り広げた。

 ラトバラはSS14と17でステージ最速タイムを刻む走りをみせて総合2番手を確保。トップのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)とは4.4秒差となっており、逆転優勝の可能性を残して競技3日目を終えた。

エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)

 また若手のラッピも総合順位で一時ラトバラを交わすなど速さをみせ、ラトバラと7.4秒差の総合3番手につけている。

■ラトバラ「オットのリタイアで自分に優勝のチャンスがあると気づいた」

「オット(タナク)はとても好調だったから、止まってしまったのは本当に残念だ」と語るのはチーム代表のトミ・マキネン。

「何が起こったのかその原因を注意深く調べ、もし何かしらの変更が必要ならば、早急に対策を施さなくてはならない。一方で、ヤリ-マティ(ラトバラ)が(セバスチャン)オジエと僅差の優勝争いをしているのはポジティブな要素だ」

「とても大きなチャンスだし、もし明日の朝から完全に自信を持って走ることができれば、優勝は可能だと思う」

「エサペッカ(ラッピ)もまたいい位置につけているから、明日はふたりが揃って表彰台に立つことを期待しているよ」

オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

 ラジエータートラブルでデイリタイアを余儀なくされたタナクは「朝はとても順調でだった。いいペースを保ち、自分のリズムで走るだけで良かったのだけど、スウィートラムのステージの2走目(SS16)で、ラジエターに何らかのダメージを負いストップしなくてはならなかった」と述べている。

 トヨタ勢最上位につけるラトバラは「オットがリタイアした後、自分に優勝のチャンスがあると気がつき、よりハードに攻め始めたところどんどんとフィーリングが良くなっていった」とコメントしたほか、ラッピは「後方の順位の選手との差は充分ではないので、明日はハードに攻めなくてはならないだろう」としている。

 競技最終日となる7日(日)はSS19〜23までの5SSで争われる。このうちSS19は今年から新たに組み込まれたステージで、SS21、23はターマック(舗装路)を舞台に争われるほか、他大会では最終SSに設定されることが多いパワーステージはSS20に設定されている。

 全5SSの合計距離は55.64km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は237.95kmだ。

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