巨人・菅野、40年ぶり快挙のシーズン8完封 平成以後で6完封超はわずか7人

巨人・菅野智之【写真:Getty Images】

完封した8試合全てで2四球以内と安定感抜群

 巨人の菅野智之投手は10月4日の広島戦で、9回を4被安打11奪三振、無四球で完封勝利を挙げた。菅野の完封は今季8回目。シーズン8完封は、1978年の鈴木啓示(近鉄)以来、40年ぶりとなる快挙となった。

 先発完投が投手の役割だった昭和の時代、完封勝利は珍しいものではなかった。シーズン最多完封記録は1942年野口二郎(大洋)、1943年藤本英雄(巨人)の「19」だ。しかし、1970年代に投手の先発、救援での分業が進むと、完投、完封は減少していった。

 平成以降に6完封以上を記録したのは7人(9度)しかいない。

2018年 菅野智之(巨人)8完封/27先発
1989年 斎藤雅樹(巨人)7完封/30先発
2014年 則本昂大(楽天)7完封/28先発
1990年 斎藤雅樹(巨人)6完封/27先発
1991年 西村龍次(ヤクルト)6完封/29先発
1995年 斎藤雅樹(巨人)6完封/27先発
2010年 金子千尋(オリックス)6完封/29先発
2011年 ダルビッシュ有(日本ハム)6完封/28先発
2011年 田中将大(楽天)6完封/27先発

 菅野自身は、これまで2017年の4完封が最高だったが、今季はその数が倍増した。その8度の完封勝利の内容は以下のようになる。

4月28日(ヤ)東京D 9回2被安打5奪三振0与四球 球数115
5月11日(中)東京D 9回5被安打13奪三振1与四球 球数121
6月15日(ロ)ZOZO 9回6被安打9奪三振0与四球 球数126
8月18日(中)東京D 9回2被安打9奪三振2与四球 球数138
8月25日(神)東京D 9回7被安打12奪三振2与四球 球数124
9月22日(ヤ)東京D 9回5被安打9奪三振2与四球 球数133
9月28日(デ)東京D 9回5被安打2奪三振2与四球 球数103
10月4日(広)マツダ 9回4被安打11奪三振0与四球 球数119

 本拠地東京Dで6試合、敵地のZOZOマリンとマツダスタジアム1試合ずつ。与四球は8試合とも2つ以内に収めている。130球を超えているのは2度しかなく、無駄球を少なく、効率的な投球でイニング数を増やしている。菅野はこのほかに8回零封の試合も2試合ある。安定感は抜群だった。

 菅野は2年目の2014年以降、毎年、防御率は2点台以下だが、味方の援護が少ない試合も多く、2016年は2.01で最優秀防御率を獲得しながら、9勝に終わっている。しかし、完封ならば援護点は「1」でも勝利できる。菅野は援護点に頼らずとも勝てる投手になりつつあるのではないか。

 巨人は残り1試合、10月9日の甲子園の阪神戦を残すのみ。DeNAの結果次第では、CS進出のためには負けられない試合となる。状況次第では、10月4日に先発した菅野が中4日で先発する可能性もあるだろう。

 もし、この阪神戦で完封すれば、1969年の成田文男(ロッテ)以来、49年ぶりのシーズン9完封となる。今季の菅野は、まるで昭和の時代のような快投が続いている。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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