テスラの最大ライバル、ファラデーが量産直前車公開

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米EVメーカー・テスラの最大のライバルであり、「テスラキラー」との異名もあるファラデー・フューチャー(米ロサンゼルス)がこのほど、初のモデル「FF91」の量産直前(プリプロダクション)車を公開した。一時は懸念されていた資金問題も乗り切った模様で、カリフォルニア州中部にある工場で、2019年前半を目指し量産の準備を進めている。「超高級インテリジェントEV」と称されるFF91は、12万ドル~30万ドル(約1350万円~3400万円)になる見込みだ。(寺町幸枝)

「我々の努力は、業界とユーザーから一目置かれるに違いない。そして彼らはすぐにこの<新種>による得を得ることになるだろう。私たちはそれだけこれ(FF91)を生み出すことに、全力を注いでいる」とは、ファラデー・フューチャーのCEO、ジア・ユエティンが、プリプロダクションの様子を映し出した映像に添えた言葉だ。

ユエティンは、自身が2004年に中国で創業したインターネット動画配信網企業「楽視(LeECO)」の CEOを今年5月で退任し、同社会長に退いており、現在はこのEV事業に注力を注いでいる。

ファラデー・フューチャーは、2016年初頭に世界最大級の家電見本市「国際コンシューマー・エレクロトニクス・ショー(CES)」でコンセプトカーを披露して以来、慢性的な資金不足に悩まされてきた。

米ビジネスインサイダーが報じたところによると、今年2月香港系投資会社から、ファラデーに対して総額15億ドル(約1600億円)の資本注入されたことで息を吹き返したという。

ファラデー・フューチャーによれば、現在生産工場のあるカリフォルニア中部のハンフォードだけでも、1,000人規模で人材採用を進めており、採用された人材は、地元のカレッジ・オブ・セコイア(COS)の協力を得た特別なトレーニングプログラムを受講することが可能だ。

カリフォルニア州が運営する職業訓練所で8月中旬から始まったこのトレーニングプログラムは、新規採用された人材が20-25人単位で、40時間に渡って、チーム構築や、問題解決、リーダシップスキルといた内容の授業を受ける。直接的な仕事に関係ないと思われるような内容も含まれるこのトレーニングは、同社がまさに初期の段階から、人材育成にも力を入れている現れだ。

現在の米国は景気も回復し、失業率は低下している。そのため賃金も上がりつつある環境であることから、人材確保は一つの課題になりつつある。なお、製造業における人材募集は、今年1995年以来過去最高を記録し、その数は32万7千の仕事だという。

そのため同社は既存の人材募集広告だけでなく、インスタグラムのストーリーズを利用した採用広告を打つなど、今米国で注目されている「ソーシャルリクルーティング(ソーシャルメディアを使った採用活動)」にも力を入れており、次世代の人材確保に躍起になっている。

2019年上半期の間には、すでに予約が入っている生産分の納車を開始する予定でおり、これを踏まえ、本格的な量産へ前向きな一歩を踏み出した。

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