成年男子三段跳び 山本凌雅 圧倒的強さでV 福井国体

 第73回国民体育大会「福井しあわせ元気国体」第9日は7日、各地で15競技が行われ、県勢は陸上成年男子三段跳びの山本凌雅(JAL)が16メートル74(追い風参考)で優勝を飾った。
 6日にボルダリングを制した山岳成年女子の原田朝美・大河内芹香組(長崎国際大・西九州大)はリードも5位入賞。アーチェリー少年男子、バレーボール少年女子は5位と健闘した。
 陸上勢は山本のほか、成年男子走り高跳びの松本修一(福岡大)が5位、少年男子A5000メートルの花尾恭輔(鎮西学院高)も7位入賞。空手少年女子組手個人の瀬崎凜(佐世保北高)は5位に入った。
 今大会の会期は残り2日。第9日終了時点で「20位台前半」を掲げてきた長崎県の天皇杯(男女総合)順位は40位で、41位に終わった1998年神奈川国体以来、20年ぶりに40位台後退という可能性も出てきた。

◎「挑戦者の気持ちで臨んだ」23歳 会心の笑み
 陸上に成年男子三段跳びが採用された今年。山本(JAL)は日本高校記録を樹立した諫早農高3年時以来となる“本職”で参戦した。追い風参考ながら16メートル74を跳び、他を寄せ付けずに快勝。日本のトップを走り続ける23歳は「いろいろな思いが出た。挑戦者の気持ちで臨んだのが良かったんだと思う」と会心の笑みを浮かべた。
 膝の故障を抱えて始動した社会人1年目の今季。6月の日本選手権は3位に終わり、ジャカルタ・アジア大会出場を逃した。その舞台で活躍する同世代のアスリート。悔しさを胸に秘め、約2カ月間、故障と向き合いながら練習に励んだ。
 照準を合わせたのは国体。9月中旬には故障も癒え、下旬の全日本実業団選手権で16メートル59を跳んで優勝した。久しぶりに感じた手応え。いいイメージを持ったまま、相性のいい舞台を迎えた。
 2回目に16メートル52(追い風参考)を跳んでトップに立つと、最後まで“定位置”をキープした。「跳躍の感覚はしっくりこなかった」が、最終6回目に16メートル74をマーク。2位に63センチ差をつける圧倒的な強さを披露した。
 スタートはやや出遅れたが、満足のいく試合で締められた今季。これからは好調を維持したまま冬季練習に入る。来年は2度目の代表入りが懸かる世界選手権イヤー。「日本記録の17メートル15に挑戦できる力を持ってシーズンを迎えたい」
 5年前、日本トップへ飛躍のきっかけをくれた国体。苦しいシーズンには専門外の走り幅跳びで入賞して、古里からエネルギーをもらった。「やっぱり、長崎のユニホームは気持ちが入る」。今回もきっと、いい流れに乗っていける。

【陸上成年男子三段跳び決勝】16メートル74で初優勝した山本(JAL)=福井市、福井県営陸上競技場

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