【MLB】ダルら不調で184億円超が「無駄に」!? カブス幹部、来季へ「厚み持たせたい」

カブス・ダルビッシュ有【写真:AP】

シカゴ地元紙が特集、昨冬のFAで「184億円超は無駄となった」

 2016年にワールドシリーズ制覇を果たしたカブスは今季、ワイルドカードゲームで無念の敗退となった。地区優勝目前まで迫りながら、ブルワーズに並ばれ、ワンデープレーオフで敗戦。さらに、ワイルドカードゲームではロッキーズに延長13回の熱戦の末に敗れた。今季はダルビッシュ有投手、タイラー・チャットウッド投手と補強した先発投手が期待に応えられず。セオ・エプスタイン編成本部長は、“有事“に備えて来季はローテーションにさらに厚みをもたらすことを明かしている。地元紙「シカゴ・サンタイムズ」が報じた。

「昨冬のフリーエージェント(FA)の失敗が、2019年のカブス先発ローテに予期せぬ厚みをもたらした背景」とのタイトルがつけられた記事では、まず名将ジョー・マドン監督が今季開幕前、就任以来最も強力な先発ローテーションになったと語っていたことを紹介。ジョン・レスター、カイル・ヘンドリクス、ホセ・キンタナに加えて、オフにFAだったダルビッシュ、チャットウッドを獲得し、米メディアからもメジャー屈指のローテーションと評価されていた。

 しかし、6年総額1億2600万ドル(約143億2600万円)で契約したダルビッシュは故障にも苦しんで8試合登板、1勝3敗、防御率4.95の成績に終わった。3年総額3800万ドル(約43億2000万円)で獲得したチャットウッドは20試合に先発したものの、4勝6敗、防御率5.30。103回2/3で実に95四球という制球難だった。

「シーズンが始まり、タイラー・チャットウッドの歴史的な与四球数とユウ・ダルビッシュの残念な投球と怪我により、1億6400万ドル(約184億4600万円)は無駄となった」

 記事では、このように指摘。エプスタイン氏が「来年は先発投手に厚みを持たせるつもりだ。先発投手を切り捨てるわけではない。複数の怪我人にも対応できるように、可能な限り厚みを持たせたい」と話していることを紹介している。

ダルビッシュ復活は「本当に、本当に楽しみ」も…

 まずは、今季途中にレンジャーズからトレードで獲得した左腕コール・ハメルズの1年2000万ドル(約22億7400万円)での契約オプションを行使するだろうと予想。ベテラン左腕はカブス加入後に12試合登板で4勝3敗、防御率2.36という好成績を残しており、エプスタイン氏は「彼は間違いなく今後もいてほしい選手だ」と話しているという。となると、先発候補は、レスター、ヘンドリクス、キンタナ、ダルビッシュ、ハメルズ、チャットウッドに、現有戦力のスマイリー、モンゴメリーらを加えて8人程度となり、特集では「次のシーズンが始まる時に全員戻ってきて、チャットウッドが移籍しなければ、カブスは球団史上断トツで最も高額なローテーションとなり、たぶん最も厚みもある」と言及している。

 もっとも、契約を5年残すダルビッシュの復活は必要不可欠。エプスタイン氏は同紙の取材に対して「我々は健康で影響力の強いユウ・ダルビッシュが戻ってくるのを本当に、本当に楽しみにしている」と答えている。一方で、「しかし、厚みも代替策も必要だ。なぜなら、今年と同じ道を辿ってしまったら、シーズンが台無しになってしまう。それは自分の責任であるし、我々の責任でもある」とも言及。今年の“過ち”は繰り返さないつもりだ。

「我々はダルビッシュが復帰できることを望んでいたが、最終的にはできなかった。それがコール・ハメルズを獲得した理由の1つであるだ。そして、我々のローテーションは強みとなった。今冬も同じアプローチをしなければならない。私はダルビッシュが健康となり、与えられた役割を果たし、多くの打者を空振りに仕留め、本当に素晴らしい先発投手の1人となってくれると、心の底から期待している。しかし、もし何らかの理由で誰かに何かがあった時に、1人の怪我でシーズンが左右されるようなことになってはいけない」

 3年ぶりに世界一へ、敏腕で知られる強化責任者はすでにあらゆることを想定し、構想を練っているようだ。(Full-Count編集部)

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