「一生に一度の経験だから」 子の出演を支える母 長崎くんち

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 長崎くんちが開幕した。裏方に徹し、出演する子どもを支えてきた母親たちにとっても、着物などの礼装で付き添う晴れの舞台。暗いうちに起きて美容室に通い、子どもに付き添って街中を歩き回る奮闘の日々が始まった。

 祭りの朝は早い。3日間、出演順は入れ替わるが、奉納踊りの開始は午前7時。7日の一番町、紺屋町の本踊(ほんおどり)に出演する濱口蔵乃介ちゃん(4)、楓さん(6)の母、美香さん(36)は、午前2時に起きて美容室へ。ヘアメークと着付けを済ませて子どもたちの支度をし、本番を迎えた。

 7年に1度しか巡ってこない踊町の年に、子どもの年齢に合った役がなければ出演はかなわないため「家族総出でくんちに関われるのも、今回が最初で最後」。だからこそ、出演者の家族はできる限りのサポートを惜しまない。

 夏になると、どこの踊町もほぼ毎日、本番と同じ踊り場所に出掛け、午後9時ごろまで稽古。美香さんは必ず付き添った。踊り場所では、わが子の踊りをスマートフォンで撮影しながら、振り付けを確かめるように一緒に体を揺らした。

 待ち遠しかった本番も、始まってしまえばあっという間。「始まりの太鼓が鳴った瞬間、涙が出そうになった」。大観衆を前に、緊張もせず踊り終えたわが子の姿に胸をなで下ろした。

 この日、諏訪神社での奉納を皮切りに5場所を務めた。3日の庭見せ、4日の人数揃( に  い ぞろ)いの疲労が抜けないばかりか、慣れない草履で動き回り、足の痛みは限界。それでも「一生に一度の経験だから、そうも言っていられない」と美香さんは笑い飛ばした。

 家に帰って着物を干したら、ご飯を食べさせて、お風呂に入れて、寝かしつけて、明日の準備…。眠気や疲れをものともせず、母たちのくんちは続く。

諏訪神社での奉納を終え、蔵乃介ちゃんの着物を整える美香さん(左)=長崎市上西山町