フロッグ界の小さな巨人"ミクラ"徹底解剖【コンパクトフロッグの有効性】

近年話題の「コンパクトフロッグ」というカテゴリーの草分け的存在でもあり、その釣獲性能の高さから根強い支持を受けているルアーがある。それが新進気鋭の釣具ブランド・ディープフォレストフィッシングの「ミクラ」。その理由を紐解くべく、開発者でありブランド代表の菅沼史朗氏をゲストに迎え実釣取材を行った。

菅沼史朗(すがぬま・しろう)/2004年に単身で渡米。FLWコアングラーとしてトーナメントに参戦する経験を持つ。帰国後、国内のフィールドで感じた経験を元に日本にマッチしたフロッグを構想。2017年に自身のブランド・ディープフォレストフィッシングから第一弾のルアーとなる「ミクラ」をリリースし、コンパクトフロッグの有効性を世に広めた。

フロッグゲームの世界を変えた、小さいけれど、大きな立役者。

小さくても釣れる、小さいから釣れる。

その愛くるしい姿のルアーを水面で扱う楽しさから、長きに渡って多くのファンを魅了してきたフロッグゲーム。

近年ではフロッグが障害物に対して極めてタイトなアプローチを可能にし、移動距離を抑えて誘えること、さらには中空ボディのソフトな着水音がプレッシャーのかかったエリアでも効果的とされ、その高い釣獲能力によって人気が再燃したジャンルでもある。

そのカテゴリーで現在最も注目を浴びているのが「コンパクトフロッグ」だ。その名の通り一般的なフロッグのサイズより小型化したものを指すのだが、単に"小さいフロッグ"というだけであればそれは今に始まったことではない。

このブームの火付け役こそが、今回登場する「ミクラ」だ。製作者である菅沼さんは自ら立ち上げたブランド「ディープフォレストフィッシング」において、なぜコンパクトフロッグを最初にリリースしたのか? その理由についてこう語った。

「日本のフィールドはハイプレッシャーが当たり前。そういった場所では、フロッグに限らずどんなルアーでも、"サイズを下げる"というのは対プレッシャーとして常套手段です。

また、サイズをコンパクトにすることでレギュラーサイズのフロッグと比べてより奥のカバーへのアプローチが可能です。当たり前の話ですが、小さい隙間に対して、大きなルアーを入れ込むよりは小さい方が入れやすいですからね。

その他にも"日本のベイトフィッシュに合わせたサイズ感"や"トップウォーターであること"という理由もあるんですが、大きな理由は上の2つ。要は他のルアーではアプローチしにくいスポットにコンパクトなルアーを撃ち込む。それを可能にするフロッグがほしかったのがキッカケなんです」

カバーに対する有効性

複雑なカバーの小さな隙間にも入りやすいため、より奥までルアー入れ込むことが可能。もちろんタックルも強いので、その先で掛けてもブレイクなどのリスクも少ない。

プレッシャー対策

プレッシャーに対してルアーサイズを小さくするのは、どの釣りでも有効な手段のひとつ。またブルーギルやエビなど日本のベイトフィッシュのサイズにもマッチしている。

シロー流・フロッグ三カ条
一、「キャストが命」
二、「状況に合ったスピード」
三、「最後は・・・カラーかなぁ(笑)」
菅沼「とにかく狙った場所にちゃんと入れ込むことが一番釣果に直結します。次がルアーのスピード。速いのか、遅いのか? そこまでで大体釣れると思うんですが、あともうひとつ上げるとするなら…カラーかなぁ?(笑)」

圧倒的完成度。コンパクトボディに詰め込んだこだわり。

菅沼さんが求めたコンセプトは"通常のフロッグタックルで扱っても遜色のないコンパクトフロッグ"。それを実現するためのこだわりを紹介しよう。

先細りのノーズにカップを設けたファットボディのコンパクトフロッグ。先細りなノーズはフッキング時にカップがバスの口をこじ開けないようにするための工夫。また正面から見てV字状になっているのは、障害物を乗り越える際にどちらかに傾くように抜けるためであり、ストライクゾーンを逃さずにトレースできる。

WEIGHT

ウエイトはフロッグの反転防止のために装着されているが、ミクラの場合はキャスト性も損なわぬよう、サイズに対して若干重めの1.6グラムのウエイトを積んでいる。

HOOK

ミクラ専用に設計した超ワイドギャップのフックはボディとのフィット感が秀逸。フッキング性能も高く、強引なファイトに耐えうる強度も確保している。

BODY

太軸のフックとウエイトの重さを背負うためにボディの形状は同じ直径でも円形より面積の広いスクエア型にし、エアルームを確保。同サイズのフロッグに比べ高い浮力を実現している。

CUP

サイドカップは水押しの役割だけでなく、形成するための肉盛りをすることで首振り時のボディの潰れを軽減。そのため、シーリングなしでも浸水しにくくなっている。

HOLE

サイドカップの恩恵により浸水しにくいミクラは、フックホールをオープンにし、フックがズレない程度に稼働する自由度を確保。フックが反転しやすくなることでフッキング性能をより高めている。

フックにある程度自由を持たせたミクラはボディがフックから抜けてしっかりフックアップしてくれる。 菅沼「食ってきたら大体こうなりますね」

SINKER

フロントのエイト管に0.3グラムのウエイトを配置。頭部の重量を増すことでドッグウォーク時の水押しをアップ。小さいながらも存在感をしっかりアピールできる。

LEG

レッグはラバーとティンセルの2種。太さと重量のあるラバーはレッグ自体の水押しが強く、ティンセルは静止していても生命感のある揺らめきを演出。特にエビを偏食しているシーズンはティンセルが効果的だそうだ。

見た目は小さくても、性能は落とさず。フロッグ界の小さな巨人「ミクラ」は、まさに"凝縮・圧縮"の意味を持つ「コンパクト」という言葉を体現していると言えるだろう。その性能がホンモノだからこそ、アングラー発信で話題になったに違いない。

ミクラ[ディープフォレスト]
●全長:46ミリ
●自重:約9グラム
●カラー:全13色
●テールタイプ:2種
●価格:1300円(税抜き)

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9月26日発売の『ルアーマガジン11月号』では、注目ルアーの必釣メソッドとして「コンパクトフロッグが釣れるわけ」を掲載。菅沼史朗さん(ミクラ)の他にも、秦拓馬さん(スピンガヴァチョ)、松本幸雄さん(チャッキー)、内山幸也さん(スティーズポッパーフロッグJr.)がそれぞれのフロッグを紹介している。そちらもぜひご覧あれ。

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