古河キャステック、低圧鋳造機部品を長寿命化 アルミ溶湯への鉄分溶出も抑制

 古河機械金属は5日、グループ会社の古河キャステックが、低圧鋳造機に使用する消耗部品「トケナイト製湯口ブッシュ」の販売を開始すると発表した。アルミ溶湯への鉄分溶出を抑制する特殊鋼「トケナイト」を用いることで、同部品の寿命を大幅に伸ばすことが可能になるとともに、鋳造良品率の改善も期待できる。

 古河キャステックは、12年からアルミ鋳造部品製造設備で使用される消耗部品類の早期溶損が課題となっていた自動車メーカーに、トケナイト製の部品を販売し、テスト採用などを踏まえながら改良と実績を積み上げてきた。中でも日産自動車では、エンジン用部品鋳造機の金型部品「湯口ブッシュ」をトケナイト製にした結果、部品寿命を従来比約13倍(約3週間から約9カ月)に伸ばすことができた。さらにトケナイトの持つ高保温性により、アルミ溶湯の温度低下を防止し、湯口回りの鋳造欠陥を抑えることでエンジン用部品の鋳造良品率の改善にも寄与した。

 アルミ鋳造部品は、自動車軽量化のため、車載部品として広く使用されているが、近年は燃費向上やエコカー開発などを背景に、車両の軽量化に対するニーズがさらに高まっており、アルミ鋳造部品の薄肉化と、それに伴う強度の向上が課題となっている。強度向上には、これまでアルミ鋳造部品製造過程において生じていた消耗部品からアルミ溶湯への鉄分溶出を防ぎ、不純物の混入を抑制することが重要とされている。

 なお、同社は11月8日からパシフィコ横浜で開催される「2018日本ダイカスト展示会」に出展し、トケナイト製部品を展示する予定。

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