「危険なバス停」85カ所 神奈川県警、移設・改良検討へ

 8月に横浜市西区のバス停と横断歩道が近接した交差点で発生した女児の死亡事故を受け、神奈川県警が県内全域を調査したところ、同様の形状のバス停が、この事故現場以外に85カ所あったことが9日、県警への取材で分かった。県警は今後、85カ所について交通量やバスの通行頻度などを詳細に調べ、対策の優先度が高いバス停を11月中に公表する方針。これを基に、バス事業者などと連携して順次、安全対策を講じていく考えだ。

 横浜市西区北軽井沢の事故は8月30日に発生。現場は信号機のない五差路交差点で、バス停と横断歩道は約5メートルしか離れていない。このため、バスは横断歩道をまたぐ形で停車し、対向車線の車からはバスの車体の後方が死角になる。

 戸部署によると、バスから降車した小学5年の女児=当時(10)=は、バスの後方を回って横断しようとした際、対向車線の軽ワゴン車にひかれて亡くなった。調べに対し、運転していた男性は「気付いた時にはブレーキが間に合わなかった」と話した。

 県警はこの事故の直後から約1カ月間、バス停と横断歩道が近接し、バスが停車した際に車体が横断歩道をまたいだり、踏み入れたりする形状のバス停を目視調査。85カ所がリストアップされた。内訳は横浜市41▽厚木市7▽相模原、秦野市各6▽横須賀、伊勢原市各5▽鎌倉市4▽平塚市、葉山町各3▽川崎市2▽藤沢、大和、南足柄市各1。

 県警は今後、85カ所について、交通量や過去の事故の発生状況などを加味して対策の優先度を3段階で設定。優先度が最も高いと位置づけられたバス停を公表する。合わせて、対策について短期(おおむね1~2カ月)に取り組むバス停と、それ以外を分けることも検討している。

 県警によると、安全対策は県警とバス事業者、道路管理者が連携して現地調査を行い、その後、バス停や横断歩道の移設、道路の改良などの選択肢を検討することを想定。合意形成が容易でなく、抜本的な対策を施すのが当面難しい場合は、標識や看板、カラー舗装などを通じて危険性を周知する暫定的な対応も視野に入れる。

 横浜市西区の事故現場では、県警や市交通局、土木事務所などが現地調査を行い、改善に向けた協議に入っている。県警交通規制課は「同じような事故を起こさないため、関係機関と連携してできるだけ早く安全対策を講じていきたい」としている。

8月末に女児の死亡事故があった現場。バス停(右端)と横断歩道が近接し、バスが停車すると対向車線の車からは死角が生じやすい=横浜市西区北軽井沢

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