金属行人(10月10日付)

 豪英系資源大手BHPビリトンは今月、中国の一帯一路構想(BRI)による銅需要への影響をまとめたレポートを公表した。同社はBRIの当初10年間における電力プロジェクトなどで銅需要が160万トン(17年世界需要の7%相当)押し上げられる可能性があると試算。さらにBRI対象地域におけるインフラ整備の波及効果(都市化や産業化の進展)による間接的な需要で将来の銅需要が大きく増加する可能性があるとしている▼レポートではBRIに含まれる115の国・地域の平均銅消費原単位が国民1人当たり年間1・35キロで世界平均の4キロを大きく下回っていると分析。また、対象国・地域のうち、国内に銅製造能力を有するのは30カ国のみで、その中でも10カ国は今も銅の純輸入国であると指摘し、今後も各国の需要を満たすには越境貿易が必要だとしている▼銅の輸出国である日本もその恩恵を受けるチャンスがある。足元では中国の銅輸入量は鈍化傾向にあるが、東南アジアなどでの需要増加がそれをカバーし、車の電装化や情報社会の進展による需要の底上げもある。銅需要のすそ野が拡大していく中で日本企業はどういった成長戦略を実行していくことになるだろうか。

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