てんかんの治療 毎日規則的に薬服用

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 てんかんの治療法は薬物療法が中心です。医師が処方した薬を毎日規則正しく飲んで、発作を抑えて日常生活を送ることができます。熊本大病院小児在宅医療支援センターの百崎謙・特任助教(日本てんかん学会専門医・指導医)に、治療法や注意すべき点を解説してもらいました。(高本文明)

 -てんかん治療の基本は。

 「てんかんの治療は、抗てんかん薬を毎日規則的に服用して発作を抑える薬物療法が基本です。8割の人は薬で発作を抑えることができます。部分発作、全般発作という発作のタイプ、年齢、副作用の出やすさを考えて、患者さんに合った薬を選びます」

 「薬は脳神経の電気的な興奮を抑えて、発作を起きにくくします。発作を防止するには、薬が常に一定量以上、血液の中に流れていることが必要です。3~6カ月ごとに血液検査をして、副作用のチェックをします」

 -どんな副作用が出ますか。

 「治療を開始して最初の3カ月は副作用が出やすい時期です。飲み始めから2週間以内に出ることが多いのが、眠気、頭痛、めまい、物が二重に見える複視です。対策としては、薬を少量から始めます。薬の量を増やしたときに出る副作用として、ふらつき、めまい、複視があります。1回当たりの量を減らして服用回数を増やします」

 「体質による副作用もあり、発疹やアレルギーが出たら、早めに医師に相談してください。白血球や血小板の減少、肝機能障害などが起きることもあります。定期的な血液検査で対応できます」

 -ほかの病気で飲んでいる薬がある場合に注意することは。

 「風邪薬や抗アレルギー薬などに使われる抗ヒスタミン剤は発作を誘発することがあります。抗生物質も種類によっては、抗てんかん薬の血中濃度を変化させます。かかりつけ以外の医療機関から薬をもらう時は十分注意してください」

 -てんかんの薬を服用していても妊娠、出産できますか。

 「通常は服薬しながらでも安全に出産できます。抗てんかん薬には、胎児に影響を及ぼす可能性のある薬もありますが、葉酸を飲んだり、薬の量や種類を調整したりすることで心配を減らせます」

 -薬が効かない場合は。

 「適切な薬物治療でも発作が止められない難治性てんかんは、てんかん全体の1~2割ほどを占めます。難治性てんかんでは、MRI検査で病変の部位が分かる場合や、倒れる発作が頻繁に起こる場合には手術を検討します」

 「手術には、病変がある部位を切除する方法と、ペースメーカーのような装置を胸に植え込み発作を減らす迷走神経刺激法があります。子どもの難治性てんかんでは高脂肪・低糖質食を取るケトン食療法という特別な治療もありますが、副作用や治療のコツがあるので自己流で行うのは危険です」

 -発作が治まれば、薬をやめてもいいのですか。

 「発作が長い間止まり、薬の中止が可能と判断したら、ゆっくりと薬を減らします。発作のタイプにもよりますが、発作が抑えられてから、子どもで2~3年、成人で5年以上してからの減量開始が目安です。減量中の車の運転は控えてください」

 「勝手に薬を減らしたり、やめたりするのは危険です。しかし、飲み忘れなく服薬を続けるのはとても大変なことです。不安なことは遠慮せず医師に相談してください。てんかんの治療では、発作を止めるだけでなく、安心して学校や職場で過ごせているかを確認することもとても大切です。てんかんに関する悩みで困っている人を見かけたら、てんかん協会などの相談窓口の利用もおすすめです」

(2018年10月10日付 熊本日日新聞夕刊掲載)