同一労働同一賃金 企業の8割「影響ある」 7割が対応検討 九州経営者協会が調査 

 九州経営者協会は、非正規労働者と正社員の不合理な待遇格差をなくす「同一労働同一賃金」への対応に関する調査結果をまとめた。九州の約8割の企業が同一労働同一賃金の法制化で「影響がある」と回答。現段階でほとんどの企業が雇用形態によって賃金に差をつけているとしており、企業は難しい対応を迫られている。
 同一労働同一賃金は、働き方改革関連法の柱の一つ。業務の内容や責任の程度、配置転換の範囲が正社員と同じ場合は、賃金などで同じ待遇を確保することを企業に義務付けている。同一労働同一賃金に関する法律の施行は大企業が2020年4月、中小企業が21年4月。
 調査は5月から6月にかけて、九州・沖縄8県の会員企業約2千社を対象に実施。544社(うち長崎県44社)が回答した。
 仕事内容などが正社員とほぼ同じ契約社員やパートタイマーが「いる」と回答したのは27・3%に当たる125社。このうち基本給や賞与、家族手当、住宅手当の支給額や率が非正規労働者と正社員の間で差がないとしたのは、1~2割程度にとどまった。
 雇用形態ごとの職務内容の明確化などを含む法律の施行に向けた対応は、約7割の企業が「検討中」や「今後検討したい」とした。
 有期雇用の労働者が同じ勤務先で通算5年を超えて勤めると、期間の定めのない契約へ移行できる「無期転換ルール」への対応についても尋ねたところ、「希望者だけを無期転換させる」が最多の67%、「無期契約化を積極的に進める」が12・5%と続いた。一方、転換後の賃金や雇用形態は約8割の企業が「従来通り」とした。
 長崎県企業の結果は全体とほぼ変わらなかった。県経営者協会の岩根信弘専務理事は「施行に向けて、これから企業は具体的に取り組みを始めるのでは」と分析。「今後の労働人口の減少や残業時間の上限規制の導入を考えれば、定年延長も含めた既存の制度の見直しが早急に必要」と話した。

© 株式会社長崎新聞社