非常用電源で乗り切る【5】

課題と備え 胆振東部地震から1カ月

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福祉施設

停電時にエンルムハイツで活躍した非常用電源

 胆振東部地震から1カ月が経過した。室蘭市内の福祉施設では地震発生後、防災対策の見直しを進めている。当時、各施設では非常用発電機で電源を確保し、停電を乗り切ったが、断水時や冬期間に発生する災害への対策を講じていく考え。被災地の高齢者が室蘭の施設にいまだ避難を続けざるを得ないなど、現在も地震の影響が続いている。

 2014年(平成26年)12月にオープンした介護付き有料老人ホームさわやか室蘭館(幸町、相馬利春施設長)。本格的な停電は初めてだった。地震発生時には予備電源が作動した。ただ30分ほどで切れるため、各フロアにラジオを設置し、入居者が情報を得られるように措置を講じた。ライトは懐中電灯の上に水を入れたペットボトルを置いてランタンの代わりにした。食材や水、携帯電話の充電、電池の確保などを進めた。

 相馬施設長は「災害を乗り越えて自信につながった。後は冬の対策を検討しなければいけない」と力を込める。

 特別養護老人ホームエンルムハイツ(祝津町、高野裕和理事・総合施設長)は、非常用電源があり、6年前に新しく開設したユニット型の特養で、電源が使えるようにしていた。既存施設についても非常用発電機とユニット棟から電源を取った。大停電時の教訓で用意していたのが功を奏した。ただ、非常用発電機に使用する軽油は残量に不安を生じ、取引先の協力で何とか確保した。

 今後の体制見直しは、水や食料、燃料、おむつ、おしり拭きなどの備蓄強化を進めていく。高野総合施設長は「断水になると非常につらい部分はある。衛生面にも影響が出てくる」と指摘する。

 特別養護老人ホーム白鳥ハイツ(白鳥台、柳井紀江施設長)では今回の地震を受け、今後の防災対策をまとめる考えだ。

 同施設は12年の大停電後にレンタルした発電機を非常用電源として活用する訓練を日ごろ実施していた。今回の胆振東部地震でも発電機を使い、旧館の電源は確保した。ただ、燃料は見通しが立たなかったため、職員が軽油を買いに走った。

 柳井施設長は「今後、どの程度備蓄が必要かを検討する。2カ月に1度避難訓練を行い、そのうち年1回は土砂災害を想定している。今後は停電時に入居者を避難させる訓練を実施しなければいけない。冬にも同じことができるかを検証したい」と危機感を持っている。

 厚真町の特別養護老人ホームからは、入居していた63人全員が避難した。胆振・日高の101施設が加盟している日胆地区老人福祉施設協議会は防災協定を結んでおり、13人がエンルムハイツに受け入れられた。

 室蘭だけではなく、伊達や登別、新得、穂別の施設をはじめ、苫小牧や札幌の病院も受け入れ先となった。13人は結局、エンルムハイツで7人を受け入れ、3人が白鳥ハイツ、3人が登別市内の施設に身を寄せた。白鳥ハイツには看護師も厚真から巡回に来ている。今後も週1回程度は厚真から介護職員が見回りに来る。高野総合施設長は「遠くまで避難し、家族も被災している人もいるので、精神的なショックは大きい」と、地震の影響は今も続いていることを強調した。
(池田勇人)

(おわり)
(2018年10月11日掲載)