大島造船所 自律操船システム開発へ 国内最大級 電池駆動船に搭載

 大島造船所(長崎県西海市、平賀英一社長)は三菱重工のグループ会社、MHIマリンエンジニアリングと自律操船システムを共同開発する。2019年1月末に完成予定の日本最大級の電池駆動船に搭載し、自動運航の技術確立を目指していく。小池貞夫副社長が10日までに長崎新聞社の取材に答えた。
 国交省は25年度までに自動運航船の実現を目指しており、本年度の自動操船機能の実証事業実施者に大島造船所とMHIマリンエンジニアリングを選定した。
 自律操船は(1)事前に設定した経路や速度の保持(2)衝突や座礁の防止(3)離着岸を支援-する機能を持たせたシステムの開発を目指す。
 システムを搭載する電池駆動船は「e-Oshima」(290トン)。全長35メートル、幅9・6メートル、定員約50人。普通車を十数台収容できる。造船所内の桟橋に充電設備を設け、容量約600キロワットアワーのバッテリーで推進力と船内電気をまかなう。電気を推進力とすることで、二酸化炭素(CO2)の排出抑制や騒音減のメリットがある。
 船は来賓送迎船として命名式に招く船主や荷主らを乗せ、大島造船所と対岸の同市西海町太田和間の約3キロを不定期に航行。自律操船システムの実証にも取り組む。
 小池副社長は「これまでバルクキャリアー(ばら積み貨物船)に特化して造ってきた。今回の船は新たな挑戦の一歩。自律操船機能でヒューマンエラーを防ぎ、電動で自然環境に配慮する。自動運転や電池駆動は車では研究が進んでいるが、船の世界でも一つのモデルになると考えている」と話した。

電池駆動船「e-Oshima」の完成イメージ図(大島造船所提供)

© 株式会社長崎新聞社