金属行人(10月11日付)

 トヨタ自動車とソフトバンク。日本を代表する2社が4日、モビリティサービスの合弁会社設立を大々的に発表した。クルマの在り方が大きく変わろうとする時代。いみじくも先月、この2社が大株主となっている「ウーバー」を米国とブラジルで体験した▼ウーバーでは日本で言う「白タク」が配車されるが、IT技術によって利便性や安全性の高いサービスに仕上がっている。目的地を入力すればアプリの地図に現在地からのルートが表示され、料金と所要時間が明示される。到着すると登録していたクレジットカードで自動決済され、降車後に運転手へのチップも追加できる▼最大の肝は運転手、乗客が相互に5段階で評価し合い、これが悪いとウーバーの世界から淘汰されていく仕組みだ。自ずと運転手のサービスは向上し、乗客もいい雰囲気を作ろうとマナーに気を配る。現地の駐在者からタクシーより安くて安心と高い支持を受けているのに納得した▼ウーバーは現状、日本ではハイヤーの手配でしか使えないが、先週5日に開かれた未来投資会議では道路運送法を改正する「白タク」解禁案が示された。世界のイノベーションから取り残されないよう、行政にも変化を恐れず取り組んでほしい。

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